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「ロジャー・フェデラーに手紙を書こう」。ユニクロと労働争議中のインドネシアの労働者たちが、ユニクロと広告契約を結んだフェデラー選手に「ユニクロに影響力を行使して」と要請(RIEF)

2018-07-11 22:45:51

 

 開催中のウィンブルドンテニスで話題になった一つが、テニスの人気選手、ロジャー・フェデラー選手が、スポンサー契約をナイキから日本のユニクロに変えたことだった。錦織圭選手と並び、ユニクロの広告塔になったフェデラー選手に対して、インドネシアの労働者たちが同選手を名指しした異例の手紙運動を始めた。「フェデラーに、広告主のユニクロに抗議してほしい」と――。

 

 「ロジャー・フェデラーに手紙を書こう」という運動を始めたのは、衣料品製造のグローバル労働者の権利擁護を求める国際NGOのClean Clothes Campaign(CCC:本部オランダ)。

 

 CCCによると、インドネシアのジャバ・ガーミンドの工場で働いていた労働者2000人(うち80%が女性)は、同工場でユニクロをはじめ、s.Oliver (エスオリバー)、Gerry Weber (ゲリー・ウェバー)、 Jack Wolfskin (ジャック・ウォルフスキン) などの欧米系ブランド衣料品の製造作業に長年、従事してきた。

 

 ところが、2014年に、ユニクロなどが同社に対する仕事の発注を突然停止したことから、ほどなく工場は倒産。労働者たちは、職を失ってしまった。倒産処理手続きで、彼女たちは賃金と補償金の支払いを受ける権利があると認められた。しかし、その大部分の550万㌦は未だに支払われていないという。

 

未払い賃金・補償の支払いをユニクロに求めるインドネシアの労働者たち
未払い賃金・補償の支払いをユニクロに求めるインドネシアの労働者たち

 

 CCCによると、ジャバ・ガーミンドの倒産処理に伴う決定は、インドネシアの法律だけでなく、国際的な商慣行からも、尊重されるべきもので、ユニクロの誠意ある対応を求める、としている。しかし、これまでのところユニクロからは明確な回答はないという。

 

 そのユニクロが、「公正性」を大事にするフェデラー選手を「グローバル・ブランド・アンバサダー」に任命、10年間で推定3億㌦(約333億円)の契約を結んだことを発表したことで、CCCはユニクロへの抗議の矛先を、フェデラー氏にも向けた形だ。

 

 フェデラー氏を広告塔に採用するとの発表に際して、ユニクロの柳井正会長兼社長は、「ユニクロと彼との新しいパートナーシップは、テニスコート上にとどまらない。私たちは世界を良い方向に変えていくという目標を共有し、可能な限り多くの人々の暮らしを上質なものにしていきたいと心から願っている」とコメントした。これにCCCは噛みついた。

 

フェデラー氏との契約を報じるユニクロのツィッター
フェデラー氏との契約を報じるユニクロのツィッター

 

 「この柳井氏のメッセージは、インドネシアでの対応に反映させることができるし、そうしなければならない。そうすればフェデラー選手は柳井氏を評価するだろう。2000人の労働者は補償されることを待ち望んでいる」と。

 

 フェデラー選手も「「私はテニスに深くコミットし、常にチャンピオンシップで勝つことを目指している。一方で、ユニクロと同様、世界中の人々の暮らしや文化を慈しむ心を常に忘れないようにしている」とコメントしている。

 

 インドネシアの労働者たちのうち70人は、4月に、柳井氏に直接レターを送り、未払い賃金と補償を確保するよう、交渉に直接関与してもらいたいとの趣旨だ。手紙の中で労働者たちは、ユニクロの品質基準を達成するため、休日も工場に出勤して、機械の稼働状況をチェックするなどの上司に命じられたため、と指摘している。

 

 労働者の一人は手紙の中で、「あなた(柳井氏)は、ジャバ・ガーミンドの工場倒産が我々労働者に与えた影響を知るべきだ。あなたは工場への発注をストップし、労働者のことを全く考えずに工場を去った。その結果、地域は荒廃し、子供たちも勉強を継続できない状況だ。3年を超すわれわれの苦闘をあなたはわからないのか」と訴えている。



https://www.hello-roger.ch/jp

http://www.uniqlo.com/jp/corp/pressrelease/2018/07/18070309_sports.html