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世界的な宇宙物理学者だった英スティーブン・ホーキング博士の「人工呼吸器」が、新型コロナ対策で「蘇る」。生前、使っていた呼吸器を遺族が病院に寄贈(RIEF)

2020-04-23 15:18:32

Howkins2キャプチャ

 

 2018年に死去した世界的に有名な英国の宇宙物理学者の故スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士が使用していた人工呼吸器が、新型コロナ感染症(COVID-19)対策に取り組んでいる英病院に、博士の遺族から寄付された。人工呼吸器不足に悩む病院は、博士と遺族の遺志に感謝を表している。

 

  ホーキング博士は生前、気候変動や伝染病、人口増加等が地球上での人類の生存に大きな脅威をもたらす、と予測していた。今まさに、気候変動による自然災害が毎年、世界中で発生することに加え、新型コロナウイルス感染症が世界に脅威を与えている。博士の予言が目の前で実現している思いもする。

 

 博士は、重度の筋委縮性側索硬化症(ALS)と闘いながら宇宙の謎の解明に取り組んだ。生涯の大半を車いすと音声合成器を使いながらの生活だった。車いすをはじめ、いくつかの機器は、国営の国民保健サービス(NHS)から借りたものだったが、人工呼吸器は博士が個人的に購入していた。

 

博士が使っていた人工呼吸器
博士が使っていた人工呼吸器

 

 遺族で娘のルーシーさんらは、その呼吸器を、博士が教鞭をとったケンブリッジ大学のあるケンブリッジの街のロイヤルパプワース病院(Royal Papworth Hospital)に寄贈した。博士自身、同病院で治療を受け続けた。

 

 寄贈のため病院を訪れたルーシーさんは、父を看護してくれた職員らと再会。「父を支えてくれた『古い友人』たちも含め、みんなでコロナと闘っている。少しでもお役立てれば」と語った。

 

 寄贈された「博士の人工呼吸器」は、ロイヤルパプワース病院の技術部門のチェックを経て、最も深刻な容態に陥った患者に使う機器の一つに加えられた。同病院はコロナウイルスの感染の広がりを受けて、集中治療室の収容可能人数を通常よりも2倍に増やし手対応している。

 

 コロナとの厳しい戦いが続く中、マイク・デービス(Mike Davies)呼吸器臨床部長は、「ホーキング家からの呼吸器の寄贈は大変ありがたい。感謝の一言です」と述べている。

https://www.bbc.com/news/uk-england-cambridgeshire-52380603