突撃ドキュメンタリー映画で知られるマイケル・ムーア氏が再生可能エネルギー開発の裏側を告発した「Planet of the Humans(人間の惑星)」がYou Tubeから削除された。ヒット映画「猿の惑星」をもじって、環境保護や温暖化対策の推進も、ムーア氏の「突撃」の前では聖域ではないことをアピールする作品だが、環境派からは激しい不満が出ていた。今回、ムーア氏らが編集で採用した映像の撮影者から著作権違反の訴えがあったことから、You Tubeが削除に踏み切った。
(写真は、㊧マイケル・ムーア氏、㊥ジェフ・ギブス氏)
映画はマイケル・ムーア氏がエグゼクティブ・プロデューサーを務め、「人類という単一の種が、地球という惑星を支配することは、持続可能か」と問いかけた内容だ。ムーア氏と仕事をしてきた環境活動家でもあるジェフ・ギブス(Jeff Gibbs)氏が監督を務めた。http://rief-jp.org/ct8/102294?ctid=
温暖化対策の太陽光、風力発電が、実は大量のCO2排出を生み出し、バイオマス発電・燃料は、膨大な森林破壊につながっている等を、突撃取材で浮き彫りにしている。米環境NOGのシェラクラブ、350.org、「不都合な真実」で温暖化問題の“伝道師”と称されるアル・ゴア元副大統領もやり玉にあげられている。
このため、欧米の環境NGOらは、「反温暖化対策論者に『塩』を送るようなもの」と、反権力と見做されてきたムーア氏が「転向した」と批判する向きまで現れた。こうした中で、映画で使用されている内モンゴルでのレアメタルの開発状況の著作権者である英写真家のトビー・スミス(Toby Smith)氏が、ムーア氏の映画に対して、自らの映像の使用を許可していないとして、You Tubeに著作権侵害を申し立てた。
スミス氏は、エネルギー環境問題を手掛けてきたが、「ムーア氏の映画のメッセージには合意できない。そうした映画に自分の作品が使われることは受け入れられない」と説明。映画会社と交渉するより、掲載しているYou Tubeに削除を求めた、としている。