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環境NGOのRAN、日清食品ホールディングスに対して、「2030年度までの持続可能なパーム油100%認証」方針の前倒しと、NDPE方針採択を求める(RIEF)

2020-06-26 21:56:01

RAN001キャプチャ

 

  米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は25日、日清食品ホールディングスが開いた株主総会で、同社が今月初めに、カップヌードルなどに使用しているパーム油を、2030年度までに100%持続可能性認証付きに切り替えるなどの環境戦略を公表したことに対して、「2030年度では遅すぎる。森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止方針(NDPE方針)を調達方針とする」よう求めた。

 

 RANは同日、日清食品が大阪で開いた株主総会の会場前で、「ウータン・森と生活を考える会 HUTAN」のスタッフとともに要請行動も行った。日清食品は「持続可能性」を追求する東京2020大会のスポンサーでもあることから、環境面・社会面でのパーム油調達方針の強化を株主にも呼び掛けた。RANによると、日清食品側は明確な回答は示さなかったという。

 

 日清食品は今月9日に公表した新環境戦略「Earth Food Challenge 2030」では、2030年度目標として①持続可能なパーム油調達比率100%②水資源の使用水準12.3㎥/売上高100万円③廃棄物再資源率99.5%、廃棄物総量50%削減(2015年度比)を掲げた。https://rief-jp.org/ct11/103374

 

地球に優しいカップヌードルでいてほしい
地球に優しいカップヌードルでいてほしい

 

 このうち①のパーム油については、東南アジア等での森林破壊の防止、生物多様性の保全、農園労働者の人権配慮を評価した「RSPO (持続可能なパーム油のための円卓会議)」認証パーム油等の調達に限定するとした。

 これに対してRANは、「2030年度だと、今後10年にわたって日清食品の調達が森林減少、泥炭地劣化、人権侵害といった問題に直面し続ける懸念があるほか、『持続可能なパーム油』に、RSPOの認証油に加え、同社の独自アセスメント(評価)で持続可能と判断されたパーム油も含まれるとしていることから、『非認証油を混入する方式のパーム油』も含まれる可能性がある」と懸念を示した。

 RAN日本代表の川上豊幸氏は「日清食品が、今後10年間も環境・社会面での配慮の確認が不十分なパーム油調達を続けることになれば、サプライチェーンで発生している気候危機や生物多様性の損失、人権や労働権、および土地権の深刻な侵害が今後も続き、問題を先送りすることになる。日本だけでなく、同社が事業展開する世界中の消費者やESG課題に取り組む投資家にとっても受け入れられるものではない」と批判している。

 RANは、株主総会でもこの点を質問した。RANによると、これに対して日清食品側は22日に、NDPE方針への支持をウェブサイトで表明したことを明らかにしたうえで、「(持続可能なパーム油のみの調達達成を)2030年まで待ち続けているわけではなく、できるだけ早く進めていく」と答えたという。

 また「独自アセスメントは、外部のNPOと客観的な認証が確保できる形で進める」と説明した。さらに「(NDPE方針の)支持は、パーム油原産地の環境と労働者の人権に配慮して生産されたことが確認できるパーム油のみを調達するよう、最善の努力を尽くすということ」などと回答した。

  NDPE方針は、国連責任投資原則(PRI)に関わる機関投資家56機関が支持を表明している。RANが今年4月に発表した報告書「キープ・フォレスト・スタンディング:森林と森の民の人権を守ろう」で、取り上げている消費財企業10社のうち、NDPE方針を正式に採択していないのは日清食品だけという。(RIEF)

http://japan.ran.org/?p=1655