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大量発生のサバクトビバッタ、南米でも大群が発生。以前に大西洋を飛び越えた子孫たちか。インド襲来の一部はネパールにまで到達(RIEF)

2020-06-28 22:50:25

 

 昨年後半以来、東アフリカからインドにかけて猛威を奮っているサバクトビバッタの大群とは別の一群が、南米で発生している。アルゼンチンの北東部では15㎢に及ぶ大群が発見された。現在のところ大きな農業被害は出ていないが、各国は警戒を強めている。一方、インドに展開しているアフリカ・アジアのバッタは、ネパールにまで進出、依然、拡大の勢いを止めていない。

 

 南米では、一群のバッタがすでに5月後半にパラグアイからアルゼンチンに移動したことが確認されている。アルゼンチンの農畜産衛生管理機構(SENASA)が6月23日が公表したレポートによると、約4000万匹のバッタがパラグアイから南へ移動し、パラナ川とウルグアイ川に面した同国北東部のエントレ・リオス州に侵入した。

 

アルゼンチンに飛来したバッタの群れ
アルゼンチンに飛来したバッタの群れ

 

 バッタの群れは、その後、フォルモサ、サンタフェを経て、コリエンテスへと南下を続け、ウルグアイ、ブエノスアイレス方向に向けて動いている。SENASAは現時点では、穀物等に重大な影響は生じていないとしているが、隣接するブラジル等と共に、警戒態勢を取っている。

 

 アルゼンチンでは昨年と2017年にも、同様にバッタの大群が発生している。バッタの種類は、基本的にアフリカ、インド等で大量発生しているサバクトビバッタ(Schistocerca gregaria)と同一。元々、大西洋を飛び越えて南米に渡ってきたされる。サバクトビバッタは別名、「わたりバッタ」とも呼ばれる。風に乗って、一日に150kmも異動することで知られる。

 

 1987年から1989年にかけて、アフリカで大発生した際は、10日間をかけてアフリカから大西洋を飛び越えて、カリブ海にまで到達したことで知られる。今回のパラグアイ、アルゼンチンでのバッタの群れは、今回のアフリカでの大発生で飛んできたものではなく、すでに土着したバッタが増殖したものとみられる。

 

広大なアルゼンチンの農地を飛ぶバッタたち
広大なアルゼンチンの農地を飛ぶバッタたち

 

 アルゼンチンもブラジルも大穀物地帯を抱える。SENASAの担当者によると、気象条件の変化で先週は南部から冷気が北上してきたため、バッタの群れはしばらく限定されるとしている。しかし、警戒態勢は続いている。

 

 一方、東アフリカから中東、パキスタン、インドへと拡大し続けているバッタの群れは引き続き、各地で勢力を保っている。パキスタンではインドとの国境近くのシンド州南部のタルパーカー地区にあるナガーパーカー周辺で一群が産卵に入ったという。別の群れは、インダス渓谷に入り、カイバル・パクトゥンクワ州で拡大を続けている。

 

ネパールに到達したバッタたち
ネパールに到達したバッタたち

 

 インドでは27日に吹いた強風に乗った群れが、北部のクシュナガールやネパールと国境を接するシッダールド・ナガト県等にも飛来した。バッタの群れはそこで分散し、一部はネパール第5の都市であるブトワルに飛来した。ネパール政府によると、サバクトビバッタが同国で確認されたのは20年以上前以来という。

 

 同国に大量飛来した1996年には、東部のチトワンの穀物の80%が食い尽くされる等の被害が発生した。今回の飛来は、風に乗って吹き寄せられた格好で、現時点では、従来ほどの攻撃力を持ってはいないとされる。ただ、ネパールも新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済社会的な活動が低下しているだけに、相次ぐ自然の災禍の到来に、人々は不安感を高めているという。

 

https://www.batimes.com.ar/news/argentina/brazil-argentina-issue-warnings-as-locust-swarm-crosses-region.phtml

https://www.reuters.com/article/us-argentina-brazil-grains-locusts/argentina-brazil-monitor-massive-locust-swarm-crop-damage-seen-limited-idUSKBN23W34K

http://www.fao.org/ag/locusts/en/info/info/index.html