HOME8.温暖化・気候変動 |アフリカ・インドを襲った「サバクトビバッタ」の大群、ようやく沈静化。発端となった東アフリカ地区以外の「危険信号」ほとんど解除へ。秋に再燃の可能性も(?)(RIEF) |

アフリカ・インドを襲った「サバクトビバッタ」の大群、ようやく沈静化。発端となった東アフリカ地区以外の「危険信号」ほとんど解除へ。秋に再燃の可能性も(?)(RIEF)

2020-08-26 16:51:03

focust001キャプチャ

 

   昨年後半から、アフリカからインド・パキスタンへと、広範囲で猛威を奮っていたサバクトビバッタの勢いが、さすがに低下してきた。国連食糧農業機関(FAO)最新情報によると、インド・パキスタン地域では「危険信号」がすべて消え、「危険信号」が残っているのは、イエメンや「アフリカの角」地区の、エチオピア、ケニア等の一部に限定されている。

 

 FAOが定期的に公表している「Locust watch(バッタ・ウオッチ)」の最新版(8月24日)によると、バッタの群れは、インドとパキスタンの国境を中心に、西は一時、ネパールまで拡大した。その後、バッタたちは、インドのラジャスターン州を中心に生息していたが、現在は、「危険」を示す赤信号はほとんど消え、多くがグリーンの「穏やか信号」に転じている。http://rief-jp.org/ct12/104466

 

 FAOによると、バッタ減少の要因は、パキスタン側で人員6000人と車両750台を動員して、1000以上のバッタ退治チームを編成、インド側でも数百のチームが協力して、根気強くバッタの大群を駆除し続けたことが実を結んだと説明している。中東のイラン、イラクでもほとんど消え、アラビア半島の南端のイエメン等に局地的に「赤信号」が残っているだけだ。

 

 イエメン周辺では、紅海周辺での産卵で再生産されている可能性があり、サウジアラビアとの国境付近を中心に駆除が続けられている。オマーンの南部でも現在、少なくとも一つのバッタの群れが確認されている。

 

 今回のバッタ騒動の発祥地となった東アフリカの「アフリカの角」地域に属するエチオピア、ソマリア、ケニアの各国では、まだ一部に「赤信号」地帯が点在する。だが、その地域はかなり少なくなった。ただ、季節が廻り、乾季が終わって10月にはまた雨季が始まる。それまでに現在のバッタたちを根絶させないと、再び、雨季に増殖する可能性も懸念されている。

 

ソマリアの空にはまだ、バッタたちが我が物顔で飛び交っている(8月14日、FAO)
ソマリアの空にはまだ、バッタたちが我が物顔で飛び交っている(8月14日、FAO)

 

 中国からインドシナにかけて、発生していた別の種類のバッタ(黄色角竹バッタ=YSBL)も、中国政府の駆除作戦の結果、現時点では、ほとんど沈静化しているようだ。しかし、こちらも台風の激化や、異常高温の継続等の気候変動の影響が高まると、再び、増殖する可能性がある。新型コロナウイルス感染と同様、これらのバッタ異常増殖とも、人類は共存しなけらばならないのかもしれない。http://rief-jp.org/ct12/105221

 

http://www.fao.org/ag/locusts/en/info/info/index.html