ロシア・カムチャッカ半島沿岸で、地中埋蔵の有害物質が大量漏えいか(?)海洋生物ほとんど全滅。海中は死の海、海面には異常な泡吹く油膜の帯。千島列島に向かっているという(RIEF)
2020-10-09 22:02:14
ロシアのカムチャツカ半島の近くで、海洋が有害物質で汚染され、大量の海洋生物が死んでいるのがわかった。海中では95%の生き物が死んだと指摘されている。海面全体が、灰色がかった黄色い油膜に覆われ、油膜の帯は異常な泡を立てながら千島列島に向かって南下しているという。旧ソ連時代に地下深く埋蔵した有害物質が漏洩した可能性や、墜落したロケット弾の燃料説などが出ているが、人間の行為であることだけは間違いないようだ。
9月初めから10月初めにかけて実施された極東連邦総合大学(Far Eastern Federal University)の調査では、カムチャッカ半島沿いの海面上に油膜が長さ40km、幅100~300mにわたって広がっているという。当初、油膜はほぼ1か所の海岸付近にとどまっていると考えられていたが、研究者らが航空撮影を行ったところ「小さくなることなく」、日本と領有権を争う千島列島に向けて「徐々に南に移動している」という。
同地での海洋汚染は9月ころ、地元のサーファーらが目の痛みを訴えて発覚した。サーファーらによると、海水の色が変わり、異臭を放っていた。当初、ロシアの地区当局は異常を否定した。しかし、SNS等で相次いで、大量の海洋生物の死骸や、海面を漂う油膜の模様が伝えられ、認めざるを得なくなった。
アザラシやタコ、ウニなどの海洋生物の死骸が大量に打ち上げられているほか、沿岸部の海底10~15m付近に住む生物はほとんど死んでいるという。カムチャツカ州知事のウラジーミル・ソロドフ(Vladimir Solodov)氏は、汚染源について、同地方の主要都市ペトロパブロフスクカムチャツキー(Petropavlovsk-Kamchatksy)から35km離れたコゼルスキー(Koselsky)にある、旧ソ連時代からの有害物質の地下埋蔵施設からの漏洩の可能性が高いとの見解を一時示した。
一方、他の複数の専門家らは、近隣の軍事施設から流出したヘプチルやサミンのような有毒なロケット燃料や混合物質が、汚染の原因の可能性があると指摘している。
検査結果では、防腐剤や消毒剤に使用されるフェノールの濃度が通常よりも2.5倍高かったほか、石油物質も3.6倍高かった。このため地元メディアでは、石油タンカーからの漏洩か、あるいは軍事的な掘削事業が誤って実施されたのではとの説を報じたが、国防省は否定しているという。
調査のために海中に潜った作業員らは、目に焼けるような痛みを受けたとしている。調査活動等で、これまでに約20人が検査を受け、8人が3度の目の角膜化学熱傷と診断された。