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ロシア・カムチャッカ半島沿岸での海洋生物大量死、原因は有毒な藻の異常発生(?)。ロシア科学アカデミー幹部が指摘。日本にも分布する藻が検出された(RIEF)

2020-10-13 13:45:13

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 ロシアのカムチャツカ半島沿岸で先月発生した、海洋生物の大量死について、ロシアの科学アカデミー(Russian Academy of Sciences)の副会長は、原因は人為的な環境汚染によるものではなく、微細な藻が作る毒素によるもの、との見解を公表した。環境NGOらは、周辺の地中に埋設された有害物質の漏洩の疑念を示している。

 

 (写真は、海面上に異常発生した泡の帯)

 

 カムチャッカ半島周辺の海域で発生した海洋生物の大量死は、先月、沿岸にいた地元のサーファーらが目の痛みを訴え、海洋生物の異変に気付いた。調べてみると、沿岸に大量のアザラシや、タコ、ウニなどの死骸が打ち上げられ、海中でも95%の生き物が死んだと報告された。また海面全体が、灰色がかった黄色い油膜に覆われ、油膜の帯は異常な泡を立てながら千島列島に向かって南下しているとされた。https://rief-jp.org/ct12/107356?ctid=65

 

 環境NGOや地域住民らは、旧ソ連時代に地下深く埋蔵した有害物質が漏洩した可能性や、墜落したロケット弾の燃料説などの原因を推測している。これに対して、ロシア科学アカデミー副会長のアンドレイ・アドリアノフ(Andrei Adrianov)氏は12日、記者会見し、「原因は、人為的な環境汚染ではなく、藻が作る毒素であることがとこれまでの調査で分かった」と述べた。

 

 同氏によると、汚染された海水のサンプルを分析したところ、「無脊椎動物に影響する毒素」を作る「(微小藻類の)ギムノディニウム(Gymnodinium)だけ濃度が高いことが分かった」という。この毒素がダイバーやサーファーの症状を引き起こした可能性もあると指摘した。また「大規模な現象が起きているのは確かだが、カムチャツカでは珍しくない有害な藻の発生だ」とした。

 

 「有毒プランクトン図鑑」によると、ギムノディニウムは長さ30~45μm、幅30~43μmで、単独で遊泳することは稀で、8~32個体の長い連鎖を形成。連鎖個体群として左右にうねりながら、ウミヘビのように遊泳するという。元々の分布は東南アジアやメキシコ湾岸などの熱帯中心だが、低水温での適応性も高く、日本の西日本地域にも分布する。毒性は麻痺性貝毒成分のサキシトキシン群を産生する。http://feis.fra.affrc.go.jp/HABD/TPS/HTML/page012.html

 

ギムナジウム(有毒プランクトン図鑑より)
ギムノディニウムの姿(有毒プランクトン図鑑より)

 

 環境NGOのグリーンピースロシア支部らは、海洋の状況に改善しておらず、依然として海洋生物の死骸が海岸に打ちあげられていると懸念を表明している。だが、アドリアノフ氏は、自然は極めて速く自己再生していると問題ないとの見解を示したという。

 

 ただ、アドリアノフ氏の見解に立つ場合でも、本来は熱帯や温帯周辺に分布するギムノディニウムが、低水温適応性があるとはいえ、寒冷地のカムチャッカで大量発生した理由には疑問が残る。温暖化の進行に伴う海の温度の上昇で、異常発生したのだろうか。アドリアノフ氏は「カムチャッカでは珍しくない」とするが、明確なデータによる検証が必要だろう。

 

 ロシア当局は引き続き、「環境犯罪」の疑いで、海洋汚染の原因調査を進めている。

https://www.time24story.com/2020/10/russian-academy-of-sciences-water-pollution-in-kamchatka-is-caused-by-the-propagation-of-microalgae.html

https://jen.jiji.com/jc/eng_afp?k=20201013040682a