HOME |花王、使用済み紙おむつを炭素素材として再生。京都大学と連携し、今月から愛媛県西条市で実証実験。CO2排出量を減らし、効率的に活性炭等に再生。実用化は2025年以降の見通し(RIEF) |

花王、使用済み紙おむつを炭素素材として再生。京都大学と連携し、今月から愛媛県西条市で実証実験。CO2排出量を減らし、効率的に活性炭等に再生。実用化は2025年以降の見通し(RIEF)

2021-01-18 15:06:54

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 花王は京都大学と連携し、使用済み紙おむつを活性炭などの炭素素材として再生するリサイクルシステム確立を進める。今月から愛媛県西条市で、実証実験を始めた。使用済み紙おむつを回収前に炭素化する「炭素化装置」を開発することが最大の狙い。これにより、紙おむつを短時間で効率的に炭素化でき、焼却によるCO2排出量を削減できるという。「紙おむつ製炭素素材」の実用化は2025年以降を目指している。

 

 わが国の使用済み紙おむつは、現在、年間200万㌧以上が、ごみとして主に焼却処理されている。焼却ごみの4~6%を占めるという。焼却によるCO2排出のほか、多くの水分を吸収しているため、焼却炉の燃焼効率を悪化させる原因になるなどの課題がある。今後、高齢化による大人用紙おむつの使用量増加に伴い排気量の増大も懸念されている。

 

 花王と京都大学が取り組むリサイクル手法では、使用済み紙おむつを回収前に炭素化装置を利用することがポイントだ。同装置は少ないエネルギーインプット(低温反応)で、短時間で効率的に炭素化し、殺菌・消臭しながら体積を減らすことができるという。衛生面の課題解決に加え、体積が減るため回収頻度を減らすことができる。

 

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 今月から始まった西条市での実証実験では、市内の保育施設で、おむつ処理装置を設置し、同施設で発生するおむつの廃棄量や作業量、継続性など現場における運用面の課題を確認する作業を実施する。それを受けて、4月以降に、京大が開発した炭素化装置を保育施設に設置し、使用済み紙おむつを殺菌・消臭、体積を減らして回収する作業を実証する。

 

 炭素化装置で炭素化した紙おむつは容積が小さくなるため、回収頻度は月1~2回と従来より少なくなる。回収後は、活性炭等と同じ炭素素材なので、水環境の浄化や保育施設の園庭での植物育成等に活用する計画という。再生物については、活性炭などの炭素素材としての商品化を目指している。

 

 紙おむつの処理は、グローバル課題でもある。素材はパルプとプラスチックで構成されている。焼却によるCO2排出量増大と、杜撰な処理によるプラスチック汚染の両方の課題を抱えている。ユニ・チャームは、使用済み紙おむつをリサイクルし、再び紙おむつとして商品化する「循環型システム」を開発しており、再生紙おむつ製品の販売を予定している。https://rief-jp.org/ct4/95122

https://www.kao.com/jp/corporate/news/sustainability/2021/20210114-001/

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news/2021-01-14