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グリーンピースの船「虹の戦士号」、福島第一原発周辺の海洋調査の実施へ(Greenpeace)

2011-04-21 14:15:41

オランダからやってくるグリーンピースの「虹の戦士号」
グリーンピースは独立した第三者の立場から、海中における放射性物質の拡散や底質調査を行い、被害を

オランダからやってくるグリーンピースの「虹の戦士号」


受けた方々が正当な補償を受けられるように、情報を公開する必要があると考えます。現在、海洋調査に必要な機材を乗せた調査船「虹の戦士号(オランダ船籍)」が福島原発沖へ向けて航行中です。4月27日の調査開始を目指し、4月19日には日本政府にこの調査に協力してもらえるよう「虹の戦士号」による海洋放射能汚染調査のお知らせと協力要請」を送付しました。

グリーンピースは、被害を受けた住民の方々や消費者の安全確保を最優先と考え活動しています。現在までに2度にわたり、福島県に放射線調査チームを派遣して放射能汚染の実態をモニタリング調査し、日本政府に科学的データに基づいた避難指示範囲の拡大などを提案してきました。

このたびの海洋調査についても、先日南相馬市の桜井市長と面会し、その必要性を再認識し実施することを決定したものです。面会をした同市長は「市民と地域の生活と漁業の復興のめどをたたせるためにも、一刻も早い実態の把握が欠かせない。政府にも調査を要請しているが、第三者機関であるグリーンピースにもぜひ調査を実施してほしい」とおっしゃっていました。

放射性物質のうち海水に溶け込んだものは海流で広く拡散し、また微粒子の形で海中にとどまる物質は海底に沈み、長期間汚染が続く可能性があります。中でもセシウム137は約30年にわたって海中にとどまるとして、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)も「沈殿が疑われる日本の海岸地域では、長期にわたる調査が必要だ」と指摘しています。実際に三陸沖で獲れた魚から、国の暫定基準値を上回る放射性セシウムが検出されています。

相馬市では50隻以上あった漁船がいまや7隻しか残っておらず、養殖施設や定置網などもすべて流されたとのことです。家を失った70歳代の漁師は、「地震と津波に追い打ちをかけるように、今度は放射能被害。放射性物質がいつまでも海の底にたまるのではないか、食物連鎖を経て人間の口にも入るのではないか」と不安を口にし、「私たち老人はいいが、これから漁業を引き継いでいく若者や、子供を産もうとする親のことを考えると、たまらない。本当に、えらいことになってしまった」と、目頭を押さえていたのが印象的でした(写真:「漁業施設があった」と漁師の方にご案内いただいた場所。跡形もありませんでした)。

現在、海水においては、原発施設周辺では東京電力、沖合30㎞では文部科学省が、それぞれサンプリング調査を行っています。また水産物においては、各漁協が水産庁などと協力をして検査を行っています。ただこれら単独の調査は、生態系アプローチの観点が抜け落ちており、放射能汚染の全体像を掴むにも、地域の漁業従事者や全国の水産物消費者が納得する十分な情報を得るにも、依然として至っていません。特に、対象海域の底質状態の情報公開が皆無なことや、ヨウ素とセシウム以外の核種における調査結果が発表されていないことは問題です。