HOME8.温暖化・気候変動 |デンソー、HEMSと連携したEV用相互電力供給システムを開発(FGW) |

デンソー、HEMSと連携したEV用相互電力供給システムを開発(FGW)

2012-07-25 07:14:49

denso120724-01a
 デンソー(本社:愛知県刈谷市)は、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)と連携した電気自動車(EV)用相互電力供給システム「 Vehicle to Home(V2H)」を開発した、と発表した。EVと住宅の間で直流による急速充電を可能にするとともに、車両に蓄えた電力を住宅に供給できる。さらにHEMSにより、住宅で発電した太陽光発電電力を含む電気エネルギーを、EVと住宅の間で最適に制御できるのが特徴。
 経済産業省が進める「次世代エネルギー・社会システム実証事業」の一環として開発した。デンソーはこれまでトヨタ自動車と共同でプラグインハイブリッド車(PHV)を使った交流によるV2Hに関する開発及び実証実験を行ってきたが、今後は、PHV、EV両方の車両に対応するV2Hに関する実証実験を進めるとしている。

 今回開発したシステムの主な特徴は以下の2点。

1.HEMS用定置蓄電池を利用した急速充電機能


 EVは電池に蓄えられた電力のみで走行する。家庭に駐車しているEVは、時に電池残量が少なくなっている場合が考えられる。このため、必要なときにいつでも走行できるように、急速充電が重要となる。ただ、急速充電器は、一度に大きな電力が必要なため電力契約の引き上げなどが必要で、家庭への導入は困難とされてきた。

今回、同社が開発したシステムでは、HEMS用定置蓄電池に少しずつ貯めた電力を一度にEVに送ることができるため、電力契約を引き上げるなくても家庭に適用できるのが特徴だ。15分の充電で約20km走行可能な電力を充電できるとしている。

2.エコV2H機能


 HEMSとの連携によって、日々、その日のEVの走行予定と家庭内の電力使用量が予測される。これによって、EVの電池とHEMS用定置蓄電池への充電や、電池からの最適放電をHEMSが自動制御する。また、太陽光発電の余剰電力を電力会社に売電せず、EVまたはHEMS用定置蓄電池に貯めて使用することによって、エネルギーの地産地消を実現する。また、電力ピーク時には貯めた電力を家庭内に戻すことでピークシフトを可能にする。
 ただ、こうした効率的な家庭での電力の融通を実現するには、EVから家に戻した電力と商用電力【注1】を連系【注2】させる技術が必要となる。災害などの非常時でも、PHVと同様、EVの電池の電力を住宅内において使用することもできる。

 今回同社が開発したシステムは、V2Hに関わる標準化の動きを踏まえて開発した。実証事業では、トヨタ自動車とと三菱自動車工業のEVを用いた検証を行う予定です。

 デンソーは、次世代エネルギー次世代社会システムを見据え、住宅におけるエネルギーの最適利用をEV・PHVを核に実現するとともに、低炭素社会の実現に向けた効率のよいエネルギーマネジメントシステムの開発、事業化に向け、2013年から豊田市において実証実験を開始する予定です。

<注釈>

【注1】商用電力
一般家庭が電力会社から購入している電力。系統電力ともいう。


【注2】商用電力と連系させる
系統連系のこと。系統連系とは、太陽光発電や蓄電池などの分散電源の出力を商用電力に接続すること。電力品質を維持するため、周波数や位相を正確に合せる技術が必要。


【注3】EDMS:Energy Data Management System
社会全体としてのエネルギー最適利用を達成するため、データ収集・解析により、行動支援する。


 

http://www.denso.co.jp/ja/news/newsreleases/2012/120724-01.html