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水俣病救済締め切る 特措法申請 3県で6万人(東京新聞)

2012-08-01 16:50:41

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症状があるのに国の基準では水俣病患者と認定されない被害者に、一時金などを支払う水俣病特別措置法(特措法)に基づく救済策の申請受け付けが三十一日、締め切られた。二〇一〇年五月の受け付け開始から、熊本、新潟、鹿児島三県で六万人前後が申請し「公害の原点」とされる水俣病は公式確認から五十六年を経て大きな節目となった。 


 「潜在的被害者の切り捨てにつながる」と反発する被害者団体は、東京・霞が関の環境省前などで抗議活動をした。今後も救済を求める人が出て紛争が続く可能性が残った。




 救済策は二百十万円の一時金支給や、医療費の自己負担分が無料になる被害者手帳の交付が柱。今年六月までの申請者数は、三県で計五万七千五百八十九人に上り、七月末では六万人前後に達するとみられる。環境省は当初、救済対象を二万~三万人程度と想定したが、大きく上回った。




 細野豪志環境相は今年二月、救済開始後三年をめどに対象者を確定すると定めた特措法に基づき、七月末で締め切ると発表。「期限を設けた上で、できるだけ多くの皆さんを救済する。特措法の救済だけが水俣病問題の解決ではない」として、今後は被害者の医療福祉の充実や地域振興などに取り組むとしている。




 熊本県水俣市役所など各地の窓口には最終日の三十一日、申請に訪れる人が相次いだ。熊本県庁では午後五時半すぎ、窓口の看板が外された。郵送での申請は同日の消印まで受け付ける。




 被害者の掘り起こしを進めている水俣病不知火患者会(水俣市)は、熊本県内や環境省前で締め切りに抗議。熊本県庁で記者会見し「被害者がいる限り期限を切ってはいけない」と訴えた。




 期限撤回を求めてきた新潟県の泉田裕彦知事は「非常に残念。国には今後、被害に遭った方々が名乗り出た際は必要な支援の検討を求める」とのコメントを出した。




 八月以降に新たに救済を求める人は、特措法よりも基準が厳しい公害健康被害補償法の患者認定を申請するか、訴訟をするしか手段はなくなる。




 国の認定基準をめぐっては、〇四年の関西水俣病訴訟最高裁判決がより幅広い症状を水俣病と認定。今年二月の福岡高裁判決も「基準は十分とは言い難い」と指摘した。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012080102000084.html