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CSRを統合した経営で企業価値創造と競争力を強化へ。企業活力研究所提言(FGW)

2011-04-26 18:05:02

(財)企業活力研究所は、企業のCSR(社会的責任)を、従来の事業プロセスに伴う随伴的な位置づけから、持続可能性(Sustainability)を新たな市場の事業機会としてとらえ、企業価値のさらなる発展を目指す「戦略的CSR」へと展開するよう求める報告書をまとめた。

同研究所は、CSRの各方面の分析を実施しており、これまでに消費者とCSR、サプライチェーンとCSR、株主価値とCSRなどの報告書をまとめている。今回は、2008年のリーマンショック以降の金融資本主義への反省や、企業を取り巻く経営環境のグローバルな変化を受けて、新たな企業経営の在り方として「サステナビリティ」をあげるとともに、企業がサステナビリティを志向し、その要素を事業戦略に組み込み、企業価値の創造に取り組むことが、今後の企業の競争力の源泉になると指摘している。

そのうえで、今後、日本企業がCSRを競争優位の軸として推進する戦略的CSRへの取り組みを求めている。企業価値向上につながる戦略的CSRの取り組みについては、①技術・製品を通じた環境・社会課題の解決②貧困層への市場アプローチ③バリューチェーンを通じた取り込み④地域での信頼と協力関係の構築⑤社会への対応に重点をおいたコミュニケーション機能⑥多様な情報開示⑦CSRの取り組みによる経済的インパクトの明確化――などをあげている。

 戦略的CSRの展開に向けての提言

提言1:サステナビリティを今後の事業展開の主要課題と認識し、経営戦略のなかに戦略的CSRを組み込む。その実践においては、経営戦略の立案から実施、評価プロセスの経営実務のPDCAサイクルに戦略的CSRを落とし込んで推進していくべきであらる。

提言2:CSR部門のコミュニケーション機能を強化し、ステークホルダーに対する発信とエンゲージメント機能を充実する。投資家に対しては、IR部門を含む財務部門およびCSR部門が連携し、戦略ストーリーを効果的に説明できる体制を構築していくべきである。

提言3:多様なステークホルダーとのエンゲージメントを通じて、社内の意思決定メカニズムと実践プロセスにステークホルダーの関心事や要請を組み込むべきである。

提言4:政府は、新成長戦略を実現するための施策として戦略的CSRを維持付け、日本企業の財務価値と社会価値の一体的な創出に向けた環境整備を進めていくべきである。

同研究所のサイト:http://www.bpfj.jp/