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アジア経済は今世紀半ばに、世界経済の生産、貿易、投資の半分を占める。アジア開発銀行の最新推計(ADB)

2011-05-04 22:29:25

アジア開発銀行(ADB)は、ベトナムのハノイで開く第44回年次総会で、新たなレポート 「Asia 2050—Realizing the Asian Century」案を公表する。内容は、今世紀半ばまでに、現在の成長が続き、世代を超えたアジアの挑戦が継続すれば、新たに30億人のアジア人が相対的に高い生活水準を満喫することが可能、というものである。

レポートによると、グローバル経済の軸は、アジアにシフトする。アジア地域は現在、世界の生産の27%を占めているが、それが今世紀半ばには半分を占めるまでに増大する。さらに、グローバル貿易や同投資も、アジア地域がほぼ世界中の半分を占めるようになる。

レポートは将来予測において、「the Asian Century」と「the Middle Income Trap」という二つの予測シナリオを立てている。前者の楽観シナリオだと、アジア地域のGDPは2050年には、グローバルなGDPの51%を占める148 兆ドルに達する。購買力平価ベースでは、一人当たりGDPは$38,600にまで上昇する。これは2050年のグローバル平均の$36,600を上回る。

後者のシナリオでは、アジアの急成長国である中国、インド、インドネシア、ベトナムといったいった国々は、今後5~10年の間に、成長が低下し、収入が伸び悩むといった中進国特有の課題に直面する可能性である。さらに、もしこうした状況に陥れば、アジア地域のGDPは2050年において世界全体の32%, 61兆ドルレベルにとどまるとみられる。購買力平価ベースの一人当たりGDPは楽観シナリオの半分でしかない $20,300にとどまる。

前者のシナリオでは、ほぼ30億人のアジア人が新たに繁栄を謳歌できる。しかも後者のシナリオよりも一世代早くそれが実現可能となる。しかし、その場合でも収入のない貧困層は存在する。たとえばアジアの人民の半分は、下水道なしの生活を続け、9億人の人々は、電気を利用できない状況が続くとみられる。

レポートはこうした環境下にあるアジアの将来を見据えて、各国の政策担当者、アジアベースの立案者、グローバルベースの立案者たちは、戦略的な政策決定とそれに基づく果敢な行動をとるよう求めている。

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