HOME |汚染植物からメタン生産、広島大などがシステム研究(各紙) |

汚染植物からメタン生産、広島大などがシステム研究(各紙)

2012-09-08 14:08:44

各紙の報道によると、広島大学は静岡大学などと共同で、放射性物質で汚染された植物を減量してメタンガスを取り出し、その過程で発生する汚染水を浄化するシステムの研究を始める。東京電力福島第1原子力発電所の周辺地域では放射性セシウムに汚染された雑木や雑草、農作物などが膨大に蓄積しており、新システムを開発して処理に役立てる。3年間の研究で実用化を目指す。


 参加するのは広島大と静岡大のほか、広島国際学院大学と独立行政法人森林総合研究所(茨城県つくば市)。環境や森林、生物、廃水処理の各分野の専門家が連携して処理システムを構築する。




 システムでは雑木や雑草、農作物など放射性物質に汚染された植物に水分を加えて機械で粉砕する。短時間で微細に粉砕する装置を開発し、大量に効率的に処理する。




 粉砕した植物は微生物を使ってメタン発酵させ、メタンガスやアンモニアを取り出す。放射性物質が含まれていないか検証する。「リグニン」と呼ぶ物質が多量に含まれる雑木ではメタン発酵で効率的に減量できないため、リグニンを分解した上で乳酸発酵する技術を併せて開発する。




 発酵段階で生じる液体には放射性物質が含まれるため、放射性セシウムを吸着する性質を持つ細菌を使って取り除く。吸着後の細菌は外部と隔離して厳重に保管する。水は安全性を確認した上で放流する仕組みだ。




 家畜の排せつ物や下水処理場の汚泥といった植物以外の汚染物質についても発酵処理することを目指す。「発酵により汚染された植物の量を半分以下に減らし、(メタンガスなどの)有用なエネルギーとして活用することができる」(代表研究者の広島大大学院・加藤純一教授)と話している。放射性セシウムを含む生物資源からメタンガスを発酵生産する研究は珍しいという。




 同研究は原発事故からの早期復旧・復興に向けた課題を解決するための国の支援事業に採択されており、10月から本格着手する。1、2年目は各機関が汚染植物の調査や粉砕、発酵、除染技術を研究し、3年目には被災地に実証システムを構築する計画だ。