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国連IPCCが、風力など再生可能エネルギーのシェア上昇とコスト低減を予想(IPCC)

2011-05-12 23:23:40

ロイターによると、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2050年にかけて風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーのエネルギーに占めるシェアが現在よりも3倍から20倍へと急上昇するとともに、技術進歩によってそれらの発電に伴う費用も大幅に削減されるとの推計を公表した。

それによると、2030年までに再生可能エネルギーは本格的な増加を示し、さらに2050年以降は増加するとの見方が大半を占めることを指摘した。2008年時点で、第一次エネルギー供給の12.9%が再生可能エネルギーである。そのうち10.2%はバイオ燃料等のバイオエネルギーが占める。次いで水力、風力、地熱、太陽光、そして海洋エネルギーと続く。この傾向は、仮に石油石炭などの化石燃料からの政策的なシフト措置がないとしても、続くだろうと推測している。

国連のポスト京都の交渉は、このところほとんど進んでいない。2009年末のコペンハーゲン会議が義務的な排出規制の条約の合意に失敗したことが大きい。国際合意が難航する主要な要因は、再生可能エネルギーの費用問題にある。IPCCのレポートは、生可能エネルギーの平均価格は市場のエネルギー価格より高いが、価格以外の点ではすでに経済的に競争可能な水準になっている、としている。

IPCCが準拠した164のシナリオは、再生可能エネル儀0は今後2050年までに年間100exajourles(10の18乗)を超えるエネルギー供給をし、多くのシナリオで年200-400EJに達するとされている。2008年時点で世界全体で492EJであることからすると、64EJ増加することになる。伝統的な再生可能エネルギーであるバイオエネルギーを除外して推計すると、世界全体でほぼ3倍から20倍の増加になるとみている。

再生可能エネルギープロジェクトへの世界全体の投資規模は、2020年までの10年間で$1.36~$5.1trillion, 2012 ~30年で$1.49~$7.18trillionとの推計だ。ただこの金額は、再生可能エネルギーの普及で他の化石エネルギーの使用が減ることから、実質的にはもっと下がることになると指摘している。