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グリーンピースの海洋調査で、高濃度の放射性物質を海藻類から検出、政府に緊急調査を要請(Greenpeace)

2011-05-13 12:19:49

Greenpeaceのサイトから: 国際環境NGOグリーンピースは5月12日、福島第一原子力発電所を中心に太平洋沖および沿岸海域で行った海洋の放射能汚染の調査において、複数の海藻から高濃度の放射性物質を検知したとして、日本政府に対し福島第一原発周辺での海藻類の緊急調査ならびに、それに伴う漁業関係者への損害補償を早急に行うよう要請しました(注1)。

今回グリーンピースが採取した海藻類の調査結果は、同時に採取した海水、魚貝類などとともに詳細な調査を行った後、今週にも結果を発表する予定でしたが、優先的に放射性物質の計測をはじめた海藻類について高い数値が検出されたことから、政府に緊急措置を求めるために本日発表したものです。

グリーンピースの調査船「虹の戦士号」(オランダ船籍、555トン)で行った海洋調査(5月3日から5月5日まで)では、福島第一原発から50キロ離れた沖合で採取した海藻アカモク(ホンダワラ科)などから1キログラムあたり最高で13,000ベクレル以上の放射性物質を検知(注2)しました。

また、沿岸海域においても独自サンプリング調査を行った結果(注3)、福島第一原子力発電所の南約30㎞から65kmの場所に位置する久ノ浜(ひさのはま)、四倉(よつくら)、江名(えな)、勿来(なこそ)などの漁港で譲り受けたアカモク、コンブ、フクロノリなどの海藻サンプルからも、1キログラムあたり最高で23,000ベクレル以上の放射性物質が検出されています。

グリーンピース・ジャパンの海洋生態系問題担当の花岡和佳男は、「近接県には、国内ワカメ生産量の約7割を占める一大産地があり、また、海藻類の収穫が来週にも始まろうとしている地域があります。しかし、政府や都道府県による海藻類の調査はほとんど行われていません。早急な調査と対策が必要です」と語りました。

さらに「漁業関係者は、放射能被害における損害補償の話の進展もなく、漁業再開の見当もつかないままの不安な日々を過ごしています。収入源である漁業を奪われ、漁協から借金をして食いつないでいる人もいます。政府や東京電力は、未調査海藻類収穫の一時中止と早急な調査、さらには漁業関係者が被る被害の全額補償をセットで実行すべきです。」と訴えました。

グリーンピースは、今回暫定結果を発表した海藻以外にも、海水、魚類、貝類などを沖合、沿岸域でサンプリングしています。これらについても、今回発表した海藻類とともに海外の研究所に依頼するなどして調査結果を確認した上で、来週に記者会見を開いて発表する予定です。

注1)2011年5月12日付で提出した日本政府への要請書(pdfファイル)
注2)沖合での海洋調査(調査船「虹の戦士号」での調査)による海藻類の結果(pdfファイル)
注3)沿岸からの海洋調査による海藻類の結果(pdfファイル)
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