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EUは5年以内にサハラ砂漠での太陽光発電の電力を導入へ。代替エネルギー20%目標に大きな力(EurActive)

2011-05-28 16:26:31

欧州連合(EU)のエネルギー担当欧州委員のGunther OettingerがEurActiveとReutersとのインタビューを受け、北アフリカで推進している「デザーテック」計画について、EUの方針を語った。彼は、欧州が今後5年以内に、北アフリカから初めて太陽光発電による電力を輸入するだろう、との見通しを述べた。

 EUはサハラ砂漠の太陽光発電で生みだした電力を、欧州に導入する計画を推進している。EUは2020年には、全エネルギー使用のうち20%を再生可能エネルギー由来にする目標を立てており、北アフリカの太陽光発電支援はその目標達成に資すると期待されている。

Oettingerの発言は、アルジェリア、モロッコ、チュニジアの各エネルギー大臣との会談後のインタビューで行われた。「今後5年の間にスタートする太陽光発電プロジェクトのモデルは欧州市場に数百メガワットの電力を供給するだろう」と語った。さらに、「最初は小規模なパイロット事業だが、民間が進めている4000億ユーロ規模の大規模なデザーテック計画が本格化してくると、発電量は数千メガワットにもなるだろう」と話した。

デザーテック計画全体は今後20-40年ものビジョンに基づいており、投資総額は数千億ユーロにもなる。太陽光や風力発電などの電力を大容量で送配電網に取り入れるには、時間が必要になる、とも指摘した。EUはこうした再生可能エネルギーを北アフリカから欧州に向けて、地中海を通して運ぶインターコネクターと呼ばれる新しい電気ケーブルの構築を支援している。

しかし、いくつかの環境保護団体は、これらのケーブルは、代替エネルギーの電力よりも、北アフリカ産の石炭、ガスなどの非再生可能な電力輸入の代替に使われるリスクがあると警告している。

 こうした批判に対し、Oettingerは、「こうした疑念はわかるが、われわれの計画を変更するものではない。批判への答えは計画通りの代替エネルギー電力を供給することで理解されるだろう」と答えた。さらに「我々はEUの電力輸入が再生可能エネルギーか化石燃料なのかを監視することは、技術的に可能だと確信している」とし、疑念は数年以内に解消されると、語った。

太陽光補助金

ドイツの主要企業のSiemens, RWE, Deutche Bankなどで構成するデザーテック計画のコンソーシアムは、計画推進のためにEUの公的資金の導入を求めると予想されている。

 Oettingerはこの点について、「EUの支援は、計画にかかわるステークホルダー(地域住民や関係国など)の調整や、発電した輸入電力をEU域内に導入するための規制改革、計画のフィージビリティスタディ等を含めて検討することになる」と述べた。公的支援がEU補助金となるのか、各国政府の政府補助金を承認するのかは、コンソーシアムが詳細な事業計画を明らかにしたのちに、明らかになるだろう、とした。

 さらに彼は、アルジェリアでの関係国との会議で、各国のエネルギー大臣は欧州との再生可能エネルギー電力の取引を可能にするために、インフラの整備と、必要となる共通規則の構築に好意的だったことも付け加えた。彼は、過去にアルジェリアの一部政府高官が、この計画がEUによる北アフリカの天然資源開発に道を開くことに懸念を示したことについても、次のように否定した。

「再生可能エネルギーの開発は、北アフリカ・欧州の双方のパートナーシップに基づくものである。計画で開発した電力は、北アフリカ諸国の各国国内市場でも使われるからだ」

「たぶん、計画で発電した代替エネルギー電力の大きな割合は、欧州に輸出されるだろう。一方で、欧州は技術、ツール、機械、専門家等を北アフリカに移転するだろう。つまり、売るだけ、買うだけの一方通行のパートナーシップだけでなく、双方向の真のパートナーシップとなる」。


European Commission: Renewable energy