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孤独死:原発事故避難の50代男性 元原発作業員 二本松市の仮設住宅で息絶える(FGW)

2013-02-19 12:42:22

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信用のできない「役所」より、遠くの市民からの応援、励ましが心を満たしてくれる
信用のできない「役所」より、遠くの市民からの応援、励ましが心を満たしてくれる


東京電力福島第1原発事故が原因で、また住民が一人亡くなった。事故後、福島県二本松市の仮設住宅に避難していた同県浪江町の1人暮らしの男性(50代)が病死していたことが19日、分かった。死亡直後に、巡回をした仮設住宅の自治会関係者が発見した。

1人暮らしの「孤独死」は都市部でも問題になっているが、福島事故の場合、事故で長期にわたって住居を追われ、慣れない仮設住宅暮らしで、体調も、精神も疲弊しての挙句に、誰にもみとられず死亡したことになる。都市部の孤独死にはさまざまな人間関係や蹉跌が交錯するが、原発被災地での「孤独死」の場合、東電によって「孤独化を強いられた」のが特徴といえる。その分、自分の力ではどうしようもないむなしさが付きまとう。

原発事故被災者の孤独死としては、先月末に、福島県郡山市から東京・江東区の国家公務員宿舎「東雲(しののめ)住宅」に自主避難していた1人暮らしの無職男性(49)が孤独死していたのが発見されている。遺体は1月5日に見つかり、死後約1カ月が経過していた。

孤独死の防止は、被災地の重要課題でもある。浪江町生活支援課は、1人暮らしの避難者への目配りを意識的に実施してきた。だが、16日午前9時15分ごろ、仮設住宅の自治会関係者が見回り活動で当該の男性方を訪問したところ、声をかけても中からは一切の応答がなかった。そこで、バールを使って解錠し室内に入ると、男性は布団の中で死亡していた。死亡推定時刻は同日午前8時ごろで、死因は心筋梗塞(こうそく)とみられるという。ほんの少し前まで生きていたことになる。

男性は元原発作業員で、仮設住宅の集会にもよく参加していた。しかし、最近はひきこもりがちで、自治会などが頻繁に訪問し、励ましていたという。先が全く見えない中で、「がんばれ」というほうが無理なのかもしれない。原発事故で故郷を追われた人たちは2年たっても、戻れない。国や県の放射能調査結果は信用できない。見えない未来と、見えない恐怖が続く。そして国や市場は、2年前の福島のことをもうすっかり忘れたかのように、円安促進の”成功”で大はしゃぎしている。彼我のあまりの開きに、狭い仮設住宅の中で、むなしさが充満していたかもしれない。・

約240世帯が入居する浪江の仮設住宅の3分の1は独居世帯。町は1人暮らしの避難者の見回り・連絡態勢を強化し、緊急通報システムの対象者を現在の原則65歳以上から拡充するなどの対策を検討するとしている。だが、それだけでは、単に発見時間が都市部より早いというだけのような気がする。