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環境汚染:日本海でも深刻、汚染物質濃度5年で最大4倍に 中国などから飛来の可能性(毎日)

2013-04-10 17:49:24

Pops00
Pops00生物の体内に蓄積しやすく人体への悪影響が指摘される残留性有機汚染物質(POPs)の日本海での濃度が2010年、5年前と比べて最大4倍、上昇したことが、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の調査で分かった。原因として中国などからの流入が考えられるという。大気汚染の原因となる微小粒子状物質(PM2.5)が中国大陸から飛来し、国内の濃度が上昇する越境汚染が問題化しているが、海でも同様の現象が起こっている可能性がある。

 ◇大気と同様、中国などから流入か


 産総研の山下信義・上級主任研究員(環境分析化学)によると、分析したのは、POPsのペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)と、これに似たペルフルオロオクタン酸(PFOA)の2種類。PFOSは09年、国際条約で規制対象になり、国内法でも10年に製造、使用が事実上禁止された。PFOAは条約の規制対象外だが、性質が似ている。

 産総研は02年から世界約600地点で、海水の有害化学物質を調査しており、その一環で、秋田、新潟、石川、富山各県の沖などで採取した05年11地点、10年28地点の海水を比較した。

 その結果、05年はPFOS濃度が1リットル当たり14〜18ピコグラム(ピコは1兆分の1)、PFOAは同51〜67ピコグラムだったが、10年はそれぞれ同14〜56ピコグラム、131〜282ピコグラムで、PFOSで最大約3倍、PFOAで最大約4倍、上昇していた。

 調査では、表面から300〜500メートルまでの表層海水だけで濃度が上昇していた。日本海の海流の性質から産総研は、濃度の上昇は他の地域から物質が流入したと分析、中国や周辺諸国から対馬海峡を通って流入する海水が汚染されたと指摘している。大気から溶け込んだ汚染がどれくらいあるかなどの解明も今後、必要だという。

 山下研究員は「排水処理施設が十分に整備されていない周辺諸国からの汚染が増加している可能性がある。測定された濃度で生態系への悪影響や人体への健康問題は考えられないが、今回調べた二つの物質以外にも流入しているのは明らか。国境を超えた汚染物質の早急な対策が必要だ」と話している。【江口一】

 ◇残留性有機汚染物質(POPs)


 

環境中で分解されにくい性質のため、生物の体内に蓄積しやすい物質の総称。ポリ塩化ビフェニール(PCB)やジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)、PFOS、ダイオキシンなどが代表的で、発がん性や、コレステロール代謝への悪影響が指摘される。ストックホルム条約や関連国内法で製造や使用、輸出入が禁止されたり制限されたりしている。PFOSは水や油をはじき、粘着性がないなどの特徴から、半導体用反射防止剤や泡消火薬剤の添加物などで使われてきた。

 

http://mainichi.jp/select/news/20130410k0000m040012000c.html