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クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)第1回常設委員会が終了(JCBL)

2011-07-04 18:01:26

(JCBLのサイトから): 81カ国から400人以上の政府代表が集ってジュネーブの国連で開かれていたクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)第1回常設委員会が、6月30日に終了しました。この会議には、政府代表に加えて、国連機関、赤十字国際委員会、そして40カ国から100人以上が集まったCMCが参加しました。
 CMCは会議期間中、積極的に各国代表団と話し合いをもち、クラスター爆弾のない世界の実現に向けて各国の条約への取組みを前進させるよう説得をしました。


 
 CMCと赤十字国際委員会、加えて7カ国(オーストラリア、ラオス、英国、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、スペイン)が最近のリビアによるクラスター爆弾の使用に強く抗議をしました。
 スペインは、オスロ条約に署名をする前にクラスター爆弾をリビアに移譲したことを認めていますが、クラスター爆弾禁止が国際的に広がった今、その兵器を使用したリビアに対し、強い抗議を表明しました。

 他の参加国は、条約の進捗状況に関する報告をしました。アルバニアとザンビアは、きわめて危険な不発弾に汚染された土地の爆発物撤去を完了、8カ国が貯蔵クラスター爆弾の廃棄を完了し(オーストリア、ベルギー、エクアドル、モルドバ、モンテネグロ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン)、CMCは、これらの国々の功績を称えました。
 ハンガリーは、まだ条約を批准していませんが、貯蔵クラスター爆弾の廃棄を完了したと報告しました。

 それぞれの国はまた、クラスター爆弾の被害国であるレバノンで今年9月に開催予定の第2回締約国会議に向けた準備で目覚しい進展を見せていました。レバノンの会議には100カ国以上が参加することが見込まれています。

 CMC代表のローラ・チーズマンは、「レバノンのベイルートで開かれる会議は、この人の命を守るための条約のもと、各国が義務を果たすことを進めるためのきわめて重要なものになります。今週、私たちはクラスター爆弾のない世界のため国々の機運が高まっていること、さらに既にベイルートに向けて更なる進展につながる動きができていることを確認しました。これは大変勇気付けられることです」とコメントしました。

 余談ですが、この会議CMCのローラ・チーズマンが初日に発言するとき、議長が「強いCMC(Strong CMC)のローラ・チーズマンさん」と紹介したことが、話題になっています。その次のときには、「偉大なCMC(Great CMC)」と呼ばれたそうです。「強くて偉大なCMC」としてクラスター爆弾廃絶に関わっていることを誇りに思った、というメンバーからの報告もありました。私たちJCBLも、もちろん支援者のみなさんも「強くて偉大なCMC」の一部です。

 以下は、最終日、ICBL/CMC理事長のスティーブ・グースによる最終日の発言です。

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議長、
 オスロ条約(クラスター爆弾禁止条約)の解釈、実施に関するいくつかの重要な点について国ごとに異なった見解があることが明らかになっています。それはオスロ・プロセスの過程、ダブリン会議での交渉、各締約国の発言、各国の国内法制定のやり方、その他の行動から明らかです。

 特に、解釈の違いは、非締約国との軍事共同作戦時の非締約国によるクラスター爆弾使用への援助の禁止に関して顕著になっています。締約国の領土を通過するクラスター爆弾の移動の禁止、領土内に外国のクラスター爆弾を貯蔵することの禁止、非締約国におけるクラスター爆弾製造への投融資の禁止についてはさまざまな解釈がなされています。

 これまでの各締約国の発表、行動では、大多数の締約国、署名国はこれらの行動は禁止されると解釈しているように思われます。しかし、少数の締約国が、これに反する見解を示しています。どの行動が禁止され、どの行動が禁止されないかについて共通の理解を示されなければ、条約の強さと信頼性が失われてしまいます。我々CMCは条約の解釈の相違について各締約国が公開の討議をされるよう、強く求めます。

 対人地雷全面禁止条約の解釈に関する同様の討議が数年にわたり続けられた結果、少数を除いてほとんどすべての締約国が、非締約国との共同作戦行動にて禁止される援助活動は、対人地雷の移動、外国の対人地雷の貯蔵、対人地雷の製造への投融資の禁止であることを承認しました。

 非締約国との軍事共同作戦時に非締約国への援助を禁止することについて、オスロ条約第21条「本条約の締約国でない国との関係」が非締約国との関係に関する解釈を複雑にしています。条約第21条は、非締約国がクラスター爆弾を使用する権利を持つ場合にも締約国の共同作戦への参加を許しています。条文制定の交渉中、およびそれ以来、条約第1条の援助の絶対禁止と第21条の記述の違いについて各締約国は異なった見解を示してきました。条約が発効した現在、共同作戦時にどんな行動が許されるかについて明確な理解を示すべきです。

 CMCは、軍事共同作戦時の非締約国に対する援助は、条約により禁止されていない行動への援助に限る、と解釈すべきだと確信しています。「援助の禁止」は共同作戦時には適用されないと主張する締約国もありました。そのような解釈は条約の文章と目的に矛盾しています。仮に、締約国が条約で禁止されている活動への援助を行うことを条約第21条が認めると読めたとしても、クラスター爆弾とそれによる被害は取り除かねばならないことから、共同作戦時を含めて、如何なる時も援助は禁止されねばなりません。援助に例外を認めることは、条約の目的をひどく弱めることになります。

 条約第21条はまた、非締約国のクラスター爆弾を使用する意志を、締約国が諦めさせることを求めています。また、条約への参加を勧誘することも求めています。ある条項に統一され筋道の入った目的を持たせようとすると、ある文章ではクラスター爆弾の使用にブレーキをかけ、他の文章では使用を奨励するということは論理的に出来ません。

 締約国は、非締約国との共同作戦時を含めて、条約が禁止する行為を故意に、或いは意識的に支援、勧誘、奨励することが認められていないことを明確にしなければなりません。

 援助の禁止は、クラスター爆弾の移転、外国のクラスター爆弾の貯蔵、製造会社への投融資を含む範囲の行動であると理解されねばなりません。その他の禁止項目を挙げれば下記の通りですが、これらに限定されるものではありません。

●非締約国の所有にかかるクラスター爆弾の入手、貯蔵或いは輸送
●非締約国によりクラスター爆弾が使用されることを許す約束規定の承認
●クラスター爆弾を使用せよとの非締約国の命令を受け入れること
●クラスター爆弾を使用するよう非締約国に要請すること
●非締約国によるクラスター爆弾使用計画に参画すること
●第三者にクラスター爆弾使用の訓練を行うこと

 多くの締約国が、共同作戦の条項は「援助禁止の例外ではない」と明確に言明しているか、同じような見解を表明しています。それらの国は、ベルギー、コロンビア、エクアドル、ガーナ、ガテマラ、アイスランド、アイルランド、レバノン、マダカスカル、マラウイ、メキシコ、ノルウェー、スロベニアです。

 締約国は強力な条約の規範の総てに忠実な国内法を成立させて、援助の禁止と、軍事共同作戦への適用を禁止する旨、明確に表明すべきです。国内法は、援助の禁止は共同作戦中でも効力を有すると明確に述べなければなりません。強力な国内法が共同作戦中に起こりがちな曖昧な問題を明確に禁止するのに役立つのです。

 条文の解釈についてのその他の問題として、条約第1条に述べられている「禁止されている活動への援助の禁止」は、クラスター爆弾が締約国の領土、空間、水路を通過、横断することの禁止であるとの見解を、多くの国々が既に表明しました。また、多くの締約国が、非締約国のクラスター爆弾が締約国の領土内に貯蔵されることも援助の禁止対象であると述べました。

 外国のクラスター爆弾の通過と貯蔵は禁止対象であると述べた国々は、オーストリア、ブルガリア、コロンビア、ガテマラ、マセドニア、マダガスカル、マラウイ、マルタ、メキシコ、スロベニアです。
 CMCは、援助の禁止はクラスター爆弾製造業者への直接、間接の投融資の禁止につながると解釈します。CMCは、この分野で先駆者となったパックス・クリスティ(オランダのNGO)、ネットワーク・フランデーレン(ベルギーのNGO)と共に、「爆発物への投融資禁止キャンペーン」を行っています。以下の国々の金融機関及び投資機関は、クラスター爆弾製造業者への投融資を中止する行動を取りました。オーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、日本、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、スイス、英国などです(JCBL註:日本は、全国銀行協会がクラスター爆弾製造を使途とする投融資の禁止を発表しました)。

 ベルギー、アイルランド、ルクセンブルグ、ニュージーランドは、クラスター爆弾製造業者への投融資を禁止する法律を制定しました。アイルランド、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデンの政府年金基金はこのような投資を禁止するか、既に引き揚げました。

 製造業者への投融資は禁止されるべきであるとの見解を表明したその他の国々は以下の通りです。オーストラリア、カメルーン、コロンビア、クロアチア、フランス、ガテマラ、バチカン、ハンガリー、レバノン、マダガスカル、マラウイ、マルタ、メキシコ、ルワンダ、英国、ザンビア。

 最後にもう一度、クラスター爆弾禁止条約の主要条文の解釈と履行について、各締約国が公開の討議を行うことを求めます。これによって条約に適合するかどうかといった問題が将来発生することを避け、条約が更に強力になると確信しています。

 ありがとうございました。