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海洋のプラスチック廃棄物、クジラに致命的な影響か IWC研究(AFP)

2011-07-11 15:52:18

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【7月11日 AFP】海洋に投棄される年間数百万トンのプラスチック廃棄物が、クジラに致命的な脅威となる恐れがあると指摘した研究結果が、英領チャネル諸島(Channel Islands)ジャージー(Jersey)島で11日から4日間の日程で開催される国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)の会議で発表される。

 論文を執筆したのは、IWC科学委員会メンバーのマーク・シモンズ(Mark Simmonds)氏。同氏が過去20年の調査論文を分析したところ、クジラやイルカなど80種が含まれるクジラ目が、海洋投棄物により健康を害したり死んだ例が数百例あった。

 これまでも、ビニール袋や漁具が鳥やカメ、小型のクジラなどにからまることの危険性は知られていたが、さらに専門家らは、大型の水生哺乳類がプラスチック廃棄物を飲み込むと、障害を負ったり死亡する危険があると指摘している。

■ すでに多数のクジラが被害に

 こうした例は、これまでも多数見られてきた。

 2008年、米カリフォルニア(California)州沿岸に漂着したマッコウクジラ2頭の内臓から、大量の漁網や合成繊維などが見つかった。1頭あたり250キロも投棄物を飲み込んでおり、1頭の胃は破裂していた。また、もう一頭のクジラも、消化管にプラスチック廃棄物が詰まって、食料を十分にとれない状態だった。

 2009年、イタリア南部アドリア海(Adriatic Sea)沿岸に漂着したマッコウクジラ7頭の胃腸からも、釣り針やロープ、プラスチック廃棄物が大量にみつかった。

 2002年にも、仏ノルマンディー(Normandy)地方沿岸に流れ着いた死んだクジラの胃から、ポリ袋など1トン近いプラスチック廃棄物が取り出された。中には英国のスーパーチェーンのレジ袋も含まれていた。

 目下のところ、クジラにとって最大の脅威は、誤って漁網に捕獲されることや気候変動で、プラスチック廃棄物が及ぼす脅威の規模や深刻度は、まだわかっていない。

 取材に応じたシモンズ氏は、「海洋廃棄物が他の脅威と比べて、どの程度の害なのかはまだ分かっていないが、残念ながら、この脅威は拡大しており、今後より大きな影響を及ぼすようになることは間違いない」と述べた。(c)AFP/Marlowe Hood

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2812019/7485664