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中国漢方薬草から違法・高濃度の残留農薬を検出(Greenpeace)

2013-06-25 11:31:27

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Chinakanpou82524_132222漢方と言えば、もちろん健康のために服用されるものですよね。しかし、その漢方の原料に有害な農薬が含まれているとしたらどう思いますか?

 

中国国内で違法な6種類の農薬を検出

今日、グリーンピースは中国国内で漢方薬草(クコ、ハニーサックル、菊、サンシチニンジンなど)の残留農薬を調査した結果を北京で発表しました(注)。

その結果は、以下のようなとても心配なものでした。

【調査結果の要旨】

  • 65サンプルを調査し、合計51種類の残留農薬を検出



  • 中国国内で違法な6種類(ホレート、カルボフラン、フィプロニル、メタミドホス、アルジカルブ、エトプロポス)の農薬を26サンプルで検出(全サンプル中40%の割合)



  • WHOによって「極めて有害」、もしくは「有害性が高い」とされる農薬のうち10種類の農薬を26サンプル(全サンプル中40%の割合)で検出。そのうちクラスIa(極めて有害)とされる農薬は、アルジカルブ、エトプロポス、ホレートで、クラスIb(有害性が高い)とされる農薬は、カーボフラン、シフルトリン、メタミドホス、メチダチオン、メソミル、オメトエート、トリアゾホス



  • 極めて高濃度の残留農薬も検出。サンシチニンジンには殺菌剤として使用されるチオファネートメチルがEUの定める残留農薬基準の500倍の濃度で検出。同様に、ハニーサックルでは100倍の濃度で検出。


つまり「違法」「極めて有害」「高濃度」の農薬が検出されてしまったのです。これらは、実際に市場で販売されていたものです。

残留農薬が含まれる食品を長期にわたって摂取し続ければ、体内に有害化学物質が蓄積される可能性があります。また、農薬による慢性中毒は集中障害、ホルモン攪乱、生殖機能異常などの被害をもたらすかもしれないと報告されています。

 

増え続ける農薬使用量、有機農業への転換を

世界中の年間農薬生産量は2000年から2009年までの10年間で倍増しており、さらに2050年までには年間約3%の割合で増え続けると予想されているので、このような危険性は増加し続けます。

グリーンピースは、中国政府に対して農薬使用における規制を強化すること、農業における農薬削減計画を策定すること、そして有機農業の拡大のために十分な資金的援助を行うことを訴え、漢方薬草を生産している企業に対しては、使用しているすべての農薬の種類と使用量、そして農薬の削減計画を公開するように求めています。

もちろん、農薬問題は中国だけの問題、もしくは過去の問題ではありません。

現在進行形で、国内でも大量に利用されているネオニコチノイド系農薬がミツバチなどの生態を脅かしています。

農薬に依存しない有機農業こそが環境も健康も脅かさない21世紀にふさわしい農業です。食品などを選ぶ際には、有機農家を応援する意味でも、ぜひ有機農業で生産されたものを選んでいきましょう。

グリーンピースは、工業型農業が依存する農薬の危険性を指摘し、その使用中止と有機農業への転換を訴えています。 

(注) 「中国漢方薬草:健康の妙薬、それとも農薬カクテル?(Chinese herbs: elixir of health or pesticides cocktail?)」(英語)

 

★参考ブログ

「ハチ大量死の原因はネオニコチノイド系農薬―住友化学は否定するけれど…」(2013年6月19日)

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/45695/