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石綿被害で集団提訴 兵庫、大阪の建設労働者ら (神戸新聞)

2011-07-13 15:14:58

建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み健康被害を受けたとして、兵庫県や大阪府の労働者と遺族計17人が13日、国と建材メーカー44社に計約3億8500万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。建設労働者らによる集団提訴は全国各地で起きているが、兵庫県では初めて。

 

 訴状などによると、原告の労働者らは1949年以降、8~57年間にわたりアスベスト建材を使った現場で作業。肺がんや中皮腫、石綿肺に罹患(りかん)した。「60年代半ばまでには石綿が肺がんや中皮腫を発症させるとの医学的知見が確立していたが、国は十分な対策を取らず、メーカーも危険性を認識しながら製造や販売を続けた」と主張している。

 兵庫県内の原告は、肺がん患者の北山博士(ひろし)さん(62)、高尾洋一さん(73)、山本晃三さん(66)=いずれも尼崎市=と、中皮腫で亡くなった神戸市の女性=死亡当時(69)=の遺族の計4人。石綿と健康被害の関連について、尼崎市の3人は、いずれも労働基準監督署から労災と認定され、神戸市の女性は石綿健康被害救済法に基づく認定を受けている。

 弁護団によると、輸入された石綿の約7割が建材に使用されたため、建設労働者を中心に被害が拡大しているが、大工らは個人事業主として扱われ、労災補償が受けられないケースが多いという。また今後、建物解体時などに新たな石綿被害が発生する危険性もあり、弁護団は「国や建材メーカーの法的、社会的責任を裁判で明確にする必要がある」としている。

 東京、横浜地裁に約400人の原告が同様の訴訟を起こしているほか、北海道や京都府でも係争中。今後、福岡でも提訴が予定されている。

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004266368.shtml