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「海の食物連鎖」保護で小魚漁獲削減を-国際研究チーム(Reuters)

2011-07-23 10:16:56

【オスロ21日ロイター時事】国際的な研究チームは21日、小さな魚が海洋で果たす役割は大きいと指摘し、プランクトンからシロナガスクジラまで「海の食物連鎖」を保護するためには小魚の漁獲量を大幅に減らすべきだと勧告した。この研究結果は科学誌サイエンスに掲載された。

 同チームは、これまでの海洋研究では、小魚の乱獲はタラ、マグロ、メカジキ、それにサケといった大きな魚の乱獲ほど注目されていなかったと述べた。小魚にはカタクチイワシ、イワシ、ニシン、サバ、シシャモなどが含まれる。

 論文の主執筆者であるオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のトニー・スミス氏は、小魚の乱獲が「海洋生態系の他の部分に大きな影響をもたらす」と指摘。今回の研究について、小魚の漁獲がどのように海の食物連鎖を混乱させ、その結果、人間への食料供給にどのような悪影響が及ぶかについて示した初の包括的な分析結果だと述べた。

 小魚は主にプランクトンを食べる一方で、大きな魚、クジラ、それに海鳥といった捕食者の餌にもなるため、重要な役割を果たしている。また小魚の漁獲量は世界全体の漁獲量の30%以上を占め、開発途上国の多くの人々の主な食料源になっている。

 研究チームは、コンピューターモデルを用いてペルー沖、カリフォルニア海流、アフリカ南部沖、北海、それに豪州沖の小さな魚の生息数を調査した。そして、場合によっては禁漁水域を設けるなどして小魚の漁獲量を大幅に減らすことを提案した。同チームによれば、一部の魚類資源は「最大維持可能漁獲量(MSY=生物資源を減らすことなく得られる最大限の収穫)」として知られる漁獲量水準でさえ、打撃を受けるという。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2011072200389