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JR東海、リニアのアセスメントで「空白域」 長野・大鹿村の作業用トンネル変更箇所の調査なし(信濃毎日) 調査の手抜きか?

2014-03-02 12:07:21

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JRtokaiIP140301MAC000022000リニア中央新幹線の環境影響評価(アセスメント)で、JR東海が長野県下伊那郡大鹿村内に設定した動植物調査の対象域に調査をしていない区域があることが1日、分かった。作業用トンネルを計画した場所の近くで希少猛禽(もうきん)類のクマタカが営巣していたため、JRはトンネル位置を変更。それに伴い調査対象域も変わったが、新たに加わった範囲の調査をしていなかった。

JR東海は2011年に公表したアセス方法書で、動植物の調査区域を「改変区域からおおむね600メートル」に設定。大鹿村では釜沢地区付近の2カ所に計画した作業用トンネル周辺をそれぞれ調査し、猛禽(もうきん)類は11年12月に着手した。

その結果、トンネルの予定地2カ所のうち1カ所の周辺で、環境省がレッドリストで絶滅の危険性が高い「絶滅危惧1B類」に位置付けているクマタカの営巣を確認したため、もう一方のトンネル予定地近くに位置を変更。位置を移動したトンネルの改変区域=地図の赤の点=から半径600メートルの調査区域の一部が、他方のトンネルの改変区域=地図の緑の点=を中心とした調査区域と重なる形になった。

JR東海は、県の環境影響評価条例に基づく技術指針は「200メートル程度」を調査区域としていると説明。その範囲は重なった部分でカバーされているとして、「最低限の調査はできており、問題ない」とする。

1月に開いたリニアのアセス準備書を審議する県の環境影響評価技術委員会では非公開の場面で、委員から「南側トンネルの動物調査の範囲が不足している。適切なアセスとは言えないのではないか」との指摘が出た。これを受け、JR東海は2月の技術委で今年の春と夏に調査をしていない区域で追加調査する方針を説明。重要種が確認されれば「保全措置を検討する」とした。

同社はアセス準備書に対する沿線都県の知事意見を受けて、アセス評価書を4月にも完成させ、国に6月にも工事実施計画の認可申請をする予定。調査結果を評価書に記載するかは「未定」(広報部)としている。

大鹿村の柳島貞康村長は「技術委員会でそのような話が出たのは聞いている。追加調査をきちんとしてもらいたい」と話している。

 

http://www.shinmai.co.jp/news/20140302/KT140228ATI090058000.php