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首都圏アスベスト訴訟、新たに建設労働者と遺族167人が第二次提訴(各紙) 国とメーカーの責任明確に

2014-05-16 01:25:18

アスベスト含有の建材が垂れ下がっている
アスベスト含有の建材が垂れ下がっている
アスベスト含有の建材が垂れ下がっている


建材用アスベスト(石綿)を吸って肺がんや中皮腫などを発症した首都圏の建設労働者とその遺族ら167人が15日、国と建材メーカー43社を対象にして総額約60億円の損害賠償を求める訴訟を東京と横浜の量地裁に起こした。「首都圏アスベスト集団訴訟」の第二弾。

訴訟を起こしたのは、首都圏で働いていた元作業員らと、その遺族。いずれも東京、神奈川、埼玉、千葉など各都県で大工や左官等の仕事をしていて、建材等からアスベストを吸引したという。今回の訴訟に先立って、合計約430人の元作業員らが提起した第一次訴訟は、現在、東京高裁で審理が続いている。被告の建材メーカーはクボタ、A&Aマテリアルなど。

 

今回の原告の訴状によると、原告は1960年代以降に首都圏の建設現場で働き、後に発症した大工や遺族ら。訴状では、「国などは、75年までにアスベストの危険性を認識していたのに対策を怠った」と主張、具体的には、国は石綿吹き付け作業の危険性と規制の必要性を認識しながら全面禁止措置を設けなかったと批判している。

 

アスベストが肺ガンの原因となることは1955年に、また中皮腫を発症させることも1964年には明らかにされていた。にもかかわらず、メーカーは製造を継続した。また国はメーカーの製造を禁止する措置をとらなかっただけではなく、逆にアスベストを耐火構造に指定・認定し、使用を容認・奨励していた、と指摘されている。

 

クボタ等の建材メーカーもアスベストの発がん性について、アスベストを使う作業員らに全く警告を行ってこなかった。不使用義務に反したまま石綿建材の製造・販売を続けたとした。

 

こうした不作為によって健康被害を受けたとして、元作業員1人当たり3850万円の賠償を求めている。厚生労働省石綿対策室は「訴状を見ておらずコメントできない」としている。

 

第1陣の「首都圏アスベスト訴訟」を審理した横浜地裁は2012年5月に元作業員側敗訴の判決を出した。一方、東京地裁は同年12月、国の責任を一部認めつつ、メーカーの責任を否定、10億円余の支払いを命じる判決を出している。