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米国務省の世界人身売買報告書2014年版で 日本政府の外国人技術実習制度が実質”強制労働”との指摘(FGW)

2014-06-22 13:11:05

日本政府の技術実習制度で来日、逃げ場のない事実上の強制労働を強いられていると紹介された中国人青年二人
日本政府の技術実習制度で来日、逃げ場のない事実上の強制労働を強いられていると紹介された中国人青年二人
日本政府の技術実習制度で来日、逃げ場のない事実上の強制労働を強いられていると紹介された中国人青年二人


米国務省が公表した世界の人身売買問題報告書(2014年版)で、日本政府による外国人技能実習制度(TTIP)等によって来日するアジアなどからの労働者が、実質的な強制労働(forced labor)のケースがあるほか、女性の売春、人身売買の拠点になっていると指摘した。

2014年版報告書は世界188地域が」対象。売春や強制労働、児童労働、人権侵害等について米国を含む各国の実態を調査、ランキングをつけている。今回、日本は米国の人身売買被害者保護法(TVPA)が定める4段階の分類で、最低基準の遵守が十分ではないが改善努力をしているTier2国(上位から二番目)に分類されている。

 

日本の評価は上位から二番目だが、注目されるのは、政府主導の外国人技術実習制度が、当初の外交人労働者の基本的なん産業技術取得を促進するという趣旨から、単純労働者雇用に変化し、実質的な強制労働化しているとの指摘だ。具体的には、実習生のパスポートを取り上げたり、労働者が反発して帰国しようとすると罰金を科したりする事例などが指摘されている。本来の技術を教えるということから、単純労働の搾取に転じていると批判している。

 

安部政権は、こうした制度の改正よりも、将来の人口減少と労働力不足をカバーするため、実習生の受け入れ期間を3年から5年に延長することや、外国人労働者のさらなる門戸開放を成長戦略の柱の一つに据えている。しかし、実態の改善なく、外国人労働者に頼るばかりだと、実質的な強制労働の拡大という国際的非難を浴びかねない。

 

また日本での性労働や女性の人身売買などについてもいくつもの事例を指摘している。最近では、家出した少女を対象とした援助交際客がお金を払って少女とデートする「JK(女子高生の略)お散歩」も「high school walking」として取り上げられている。アジアなどからの外国人売春婦については、国内に入国させるための偽装結婚が横行し、入国するとパスポート等を取り上げ、借金漬けで強制労働させるパターンが定着している。また日本を基点として、女性の人身売買が東アジアや北米に展開しているとも指摘している。

報告書は日本政府(警察庁)がそうした人身売買の摘発等を実施していることも明記している。2013年は31件の人身売買間連用儀者を摘発した。2012年の30件とほぼ同レベル。しかし、明確な法規制もなく、摘発を拡大して犯罪を一掃するような政策は打たれていないと避難している。

 

こうした日本の違法状態の分析を踏まえて、報告書は、政府の技術実習制度について第三者の非政府機関による監査の必要性や、TTIP自体の説明責任を促すための監視メカニズムの設立等を提案している。

http://www.state.gov/documents/organization/226844.pdf

http://www.state.gov/documents/organization/226847.pdf