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脅かされる香港の自由、報道機関に暴力行為(WSJ)

2014-10-16 12:53:30

路上のバリケードをめぐりもみ合う民主化デモ隊とデモに反対する人々(13日) Reuters
路上のバリケードをめぐりもみ合う民主化デモ隊とデモに反対する人々(13日) Reuters
路上のバリケードをめぐりもみ合う民主化デモ隊とデモに反対する人々(13日) Reuters


香港の若者たちが街頭を占拠している主な理由の一つは、報道の自由のために闘うことだ。香港では民主的なメディアへの物理的またはビジネス上の攻撃によって報道の自由が失われつつある。今週に入り、こうした状況を浮き彫りにするかのように、香港の親民主派日刊紙「蘋果日報(アップルデーリー)」に対し、正体不明の暴漢とハッカーがあの手この手で攻撃を仕掛けている。


 11日夜から暴漢たちが断続的に蘋果日報のオフィスを取り囲み、社員を脅したり、新聞の配送を妨げたりしている。13日早朝には正門をふさぐようにトレーラーをとめ、配送用トラックが出られないようにした。同社の社員は裏口につけた別のトラックにクレーンで新聞を積み直し、売店には通常より約6時間遅れて届いた。



 蘋果日報の親会社である壱伝媒(ネクストメディア)の幹部、マーク・サイモン氏は「実力行使によって新聞の配送が阻止されている」とした上で、「香港の歴史では、こうした暴漢がメディア企業に直接手を下してきた」と述べた。



香港の高等法院(高等裁判所)が14日、暴漢らに立ち去るよう命じたが、彼らは夜になっても蘋果日報の正門付近に居座り、警察が介入する事態となった。暴漢たちは、街頭を占拠している学生主導の民主化運動を同紙が支持していることに抗議するためと主張しているが、普通のデモには見えず、むしろ雇われ暴徒による威嚇行為という方が近い。現場ではデモ参加者は貸し切りバスで一緒に移動し、よその土地の訛りで話し、全く同じ新しいテントを張っている。



 こうした実力行使は初めてではない。昨年、蘋果日報のトラックが襲われ、多数の新聞が奪われて燃やされた。また、壱伝媒を率いる黎智英(ジミー・ライ)氏の自宅の表門に車が突っ込む事件もあった。今年6月には蘋果日報は高度なサイバー攻撃を受けた。ここ数年、一部企業の広告掲載打ち切りによって財務状況も厳しさを増している。



 香港記者協会は、2013年は「報道の自由にとって、過去数十年で最も暗い1年だった」と指摘。同年2月には、香港の日刊紙「明報」の元編集長で香港政府に批判的なことで知られる劉進図(ケビン・ラウ)氏が香港マフィアと関係がある男たちに襲撃された。



 蘋果日報への威嚇行為で市民は恐怖を募らせている。大規模な民主化デモが3週目に入り、香港政府が歩み寄りを拒否していることで、現地では暴漢らの暴力行為に対する懸念が高まっている。



13日の白昼、ナイフを手にマスクをした数十人の男たちが、金鐘(アドミラルティ)地区の政府庁舎から1ブロック離れた場所を占拠しているデモ隊を襲撃。3日と4日には繁華街の旺角(モンコック)地区で暴漢たちがデモ参加者に殴りかかったが、警察はほぼ傍観していた。



 政府が平和的なデモ参加者と民主主義を支持するジャーナリストを守ることができなければ、あるいは守ろうとしなければ、企業にとって安全な場所で素晴らしい都市としての香港の日々は終わりを告げることになる。



http://jp.wsj.com/news/articles/SB10345363700595394421004580215682582657438?mod=djem_Japandaily_t