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漫画「美味しんぼ」 福島事故の“鼻血問題”のセリフ一部修正して単行本化。「原発見学が原因ではない」(各紙)

2014-12-11 14:15:53

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各紙の報道によると、東京電力福島第1原発を訪れた主人公が鼻血を出す描写が論議を呼んだ人気漫画「「美味しんぼ」の発行元の小学館は、登場人物のセリフなど一部の表現を修正した形の単行本111巻を10日、発売した。

 

「美味しんぼ」は小学館の漫画誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」に掲載されていた。4月28日の発売号では、主人公が鼻血で診察を受ける場面で、主人公が鼻血を出す描写が問題となった。また、実在の有識者が「福島がもう取り返しのつかないまでに汚染された」と話す場面も紹介されていた。

 

雑誌から今回単行本への転載では、主人公が診察を受けた医師の発言内容を変え「原発見学で鼻血が出るほどの線量を浴びたとは思えません」としている。また主人公も「原発内での外部被ばくが原因ではありませんね」と答え、原発見学による被曝(ひばく)と鼻血との因果関係を否定する表現に変更。欄外や巻末に放射線量や被曝に関する調査などの脚注も加えられた。有識者の発言も「震災前の政府の基準に従えば、住んではいけない所に多くの人が住んでいる」に変わった。

 

ただ、鼻血の描写はそのまま残した。また政府に詳細な調査を求める発言が加えられている。

 

原作者の雁屋哲氏は同日、公式ブログで一連の問題に対する自身の意見をまとめた書籍を来年1月に刊行すると発表した。「まずは単行本第110巻と111巻をお読みいただいてから、ご意見をたまわりたい。一部分だけ読んで、あれこれ言うのは反則でしょう」と述べている。

 

「美味しんぼ」をめぐっては、雑誌掲載時に大きな議論を呼び、福島県をはじめとする自治体が、版元の小学館に抗議する事態となった。同氏4は5月19日発売号で、専門家や関係者、編集部の見解などを特集記事として掲載した。
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単行本で表現が一部修正された漫画「美味しんぼ」



一方、作中に登場する井戸川克隆前双葉町長(68)は「内容を変更した小学館の意図が分からない。作者が変更したことでコメントする立場にない」としたが、「少なくとも私自身の登場シーンに変わりはなく、今も色々な症状が出ている」と話した。