HOME |原発事故教訓 国連防災世界会議で語らぬ首相 東北開催なのに言及1回(東京) 誰にコントロールされているのか? |

原発事故教訓 国連防災世界会議で語らぬ首相 東北開催なのに言及1回(東京) 誰にコントロールされているのか?

2015-03-15 14:30:29

国連防災世界会議の会場の中継モニターに映し出された、開会式であいさつする安倍首相=14日午前、仙台市で
国連防災世界会議の会場の中継モニターに映し出された、開会式であいさつする安倍首相=14日午前、仙台市で
国連防災世界会議の会場の中継モニターに映し出された、開会式であいさつする安倍首相=14日午前、仙台市で


安倍晋三首相は十四日に開幕した国連防災世界会議で、東京電力福島第一原発事故にほとんど言及しなかった。各国の首脳や防災関係者らに「防災先進国」の知見を誇示する一方、深刻な原発事故の教訓を伝えようという姿勢は見られなかった。


 首相は開会式や首脳級会合、災害と女性をテーマにした関係会合で相次いで演説。「(防災に関する)日本の知見と技術を生かして国際社会に貢献したい」と訴えた。演説は「復興は急速に進んでいる」「力強い復興をご覧いただきたい」などと、明るい未来を示すことに比重を置いた。




 原発事故に触れたのは、首脳級会合で「東日本大震災と福島第一原発事故を踏まえ、長期的視点に立ってさらなる防災投資に取り組んでいます」と説明した部分だけだった。二国間の首脳会談や歓迎行事で、風評被害の払拭(ふっしょく)は呼び掛けたが、福島県民約十二万人が避難生活を強いられていることなど、悲惨な現実を語る場面はなかった。




 もともと首相は、原発からの汚染水漏れに関し「状況はコントロールされている」と繰り返し主張している。事故の影響への言及を避ける姿勢はこの日も変わらず、被災地の東北で会議が開催された意義が薄れかねない。首相が原発輸出を推進する理由として強調する「原発事故の経験と教訓を世界と共有する責務」とも矛盾する。




 会議の運営に携わる国連スタッフは「3・11は地震、津波、原発事故の複合災害だ。(会議では)身を正し、襟を正して、それらに配慮した取り組みが必要だ」と話した。 (石川智規)

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015031502000131.html