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商工中金 大阪で「協同組合」規定を”悪用”して大企業から迂回出資金。大阪府から改善指導。民営化阻止で実績作り画策か(?)(FGW)

2015-05-20 22:53:34

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shuokouchuukinlogo中小企業支援の政策金融機関である商工組合中央金庫(商工中金)が、本来の目的から逸脱し、事業協同組合規定を利用して不適切な迂回出資金集めと、大企業向けの有利運用の提案などを組織ぐるみで行っていたとして、大阪府から改善指導を受けていたことが、明らかになった。

 

商工中金の「本業逸脱」の大企業向け営業については、18日の参院決算委員会で取り上げられた。大阪府商工労働部の改善指導を受けたのは、商工中金に出資する組合の一つとして設立された「大阪中小企業振興協同組合」。同組合の組合員のうちほぼ3分の1は、中小企業等協同組合放(中協法)に定められた中小企業の範囲を超える大企業。これらの組合役員は、大阪府等の調べに対して、「商工中金から名義を貸してくれ、といわれた」などと回答しているという。shoukouchuukin005-01

 

中小企業の要件を超えた企業の組合加入は、公正取引委員会に届出れば可能になる。ただ、組合加入は理事会での承認が求められるが、同組合の理事会議事録では大企業を「中小規模事業者」として認定する議論の形跡がないことから、大阪府は「改めて確認を行う必要がある」と改善を求めている。

 

またこれらの大企業が商工中金の組合加入のメリットとして、商工中金の配当が年3%という高配当を提供してきたことがあげられる。最近でこそ、株価の上昇で投資利回りは高まっているが、2008年のリーマン危機による株価下落、デフレ深化の中でも、商工中金は3%配当を継続、大企業にとっても魅力となってきた。

 

同組合は、「高配当」を”ニンジン”として大企業を組合員に巻き込むことで、結果的に出資金を集めるとともに、新たな融資先を確保、融資量を増やす戦略を立てた、との指摘も出ている。というのは、商工中金は、2008年の株式会社化、15年までに政府保有株売却、の民営化シナリオが打ち出されおり、政府系金融機関としての存在維持をアピールするには、デフレ深化の中で、民間金融機関に代わって融資増加で景気下支えに貢献しているとの実績を示す必要があったとの見方があるためだ。

 

しかし、こうした大企業向けの高配当は、本来は組合資金拠出相当額を組合収入として計上する必要があるのに、そうはせず、出資組合員(大企業)にそのまま配当していた。この点について、大阪府の問いただしに対して、商工中金は「あらかじめ配当の分配については組合として意思決定をしている」と説明したとされるが、それを証明する書類は提示できていない。こうした点も大阪府からの改善対象となった。

 

また法律(中小企業等協同組合法)では剰余金の配当は、年1割を超えない範囲と定められているのに、同組合の配当はそれを上回っていた。出資法でも、利殖を目的とした拠出金の受け入れは認められていない。これらの点でも、商工中金の大企業を対象とした出資金集めには疑念が生じている。

 

18日の参院決算委員会では、この問題を大門実起史議員(共産)が取り上げた。北川慎介中小企業庁長官は「(商工中金の)大企業への融資は限定的に対応しており、東証一部上場企業は(商工中金の)貸出先の0.3%、貸出残高の2.5%程度」と説明した。この説明で、大阪での組合への大企業加入の異例ぶりが際立った。さらに北川長官は「大企業が相当数入っていることは、必ずしも正常とは言えないのではないかと考える」と認めた。

 

商工中金の「大企業優遇扱い」については、4月の衆院経済財政委員会でも取り上げられている。しかし、国会での質疑は再三、行われたものの、抜本的な改革の方向性は見えないまま、20日、参院本会議で商工中金法改正案が成立、商工中金の完全民営化は先送りされた。

 

改正法の成立を踏まえ、商工中金は「中小企業組合と中小企業の持続的成長の支援を行い地域経済の活性化にも貢献したい」とのコメントを出したが、大阪府からの改善指導への対応については触れていない。

 

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