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日本公認会計士協会 東芝の不適切会計問題で 監査担当した新日本有限責任監査法人側の過失や不正見逃しの有無を調査へ(FGW)

2015-07-15 14:44:31

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 各紙の報道によると、日本公認会計士協会は、不適切会計が問題化している東芝の決算を監査した新日本有限責任監査法人に対して、監査手続きに問題がなかったかどうかを調べることを決めた。東芝の第三者委員会が報告書を出すのを待って監査業務審査会を開催。監査法人として、重大な過失や故意による不正の見逃しがなかったかを調べる。

 

 東芝の会計問題を調査している第三者委員会のこれまでの調べでは、現時点で、監査法人が東芝の不適切な会計処理を知りながら意図的に見逃したとか、東芝と共同で不適切作業を行った等の指摘はなく、東芝側が監査法人に実態と異なる説明をしていたとされている。

 

 ただ、監査法人が監査の過程で、東芝側の不適切処理をなぜ見抜けなかったのか、また、東芝が意図的に監査の目をごまかしたとしても、利益修正額が1700億~2000億円規模に膨らむ見通しとなっていることから、監査法人側の手法や対応に齟齬がなかったかどうかを、調べることにした。

 

 協会内に設立する監査業務審査会は、東芝の第三者委員会まとめる報告書を受けて、作業を開始する。審査会の委員は協会の理事らで構成、外部のメンバーは入らないという。

 

 不適切会計問題での東芝側の責任の重さと、監査法人の責任の重さは相互に絡み合う。仮に東芝側が組織立って監査法人に対して監査に必要な適切な情報を意図的に出さなかったことから、監査法人側が事態を正確に把握できなかったとすれば、東芝の行為は「有価証券虚偽記載」に当たり、刑事罰の対象となる。

 

 監査法人は強制調査権限を持つわけではないので、「ダマされた」とすれば監査責任は問われない。しかし、東芝側の対応が、組織立ったというものではなく、しっかりと監査すれば、部門間のズレや経年的な整合性の把握等で、不適切な処理が分かった可能性もある。そうだとすると、監査力の巧拙が問われることにもなる。

 

 会計士協会による会計士の懲戒処分には「除名」「会員権の停止」「戒告」などがある。悪質な場合は会計士や監査法人への行政処分を金融庁に請求する。

 

http://www.hp.jicpa.or.jp/