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清水建設、水辺の環境保全に人工の「植生浮島」を開発−湾岸域の開発と環境保全を両立(RIEF)

2016-01-20 11:09:55

ukishimaキャプチャ

 

 清水建設は19日、都市の水辺の景観向上や生態系の維持のために、淡水と海水の混じり合う汽水域の水面を緑化する人工の「植生浮島」を開発した、と発表した。

 

 同社は、2010年と2011年に、東京都中央区佃の石川島公園船溜まりに、それぞれ異なる浮力材料を使用した植生浮島を3基ずつ設置し、継続調査を実施してきた。その結果、汽水域での植生浮島としては、初めて19種類の在来種による長期的な緑化を実現するとともに、カルガモの産卵や昆虫の生息などを確認した。

 

 2010年に使った浮力材料は、耐久性木材とウレタン樹脂を浮力材料とする基盤(1.8m×3.8m:2基、1.6m×1.8m:1基)、2011年のものは、ポリエチレン/ポリスチレン複合樹脂を浮力材料とする基盤(2m四方:2基、1.2m×1.7m:1基)。いずれもその上に、軽量土壌(パーライト系土壌)、熱融着培土(壁面緑化システム「パラビエンタ」に使用する固化培土)の順に重ねた層厚12cm~36cmの浮島を作った。

 

 二つの浮島に植えた植物は、耐塩性の高いハマボウやヨシなどの在来種の植栽植物19種(木本9種、草本等10種)を選定した。植栽基盤の飛散防止・固定化のために、土壌表面をメッシュ金網で覆う工夫も取り入れた。

 

 その結果、いずれの浮力材料とも劣化・破損はみられず、長期的な水辺緑化に使用できること、カルガモ等の鳥類や、昆虫類の生息により生物多様性が向上すること、軽量土壌と熱融着土壌は保水性がよく潅水手間が少ないこと、透水性が高く塩分が蓄積しにくいこと、などが確認された。

 

 今回の実証実験の終了後、使用した浮島は当初は廃棄される予定だった。しかし、この間、近隣の住民らに親しまれたことから、同社では浮島全体を中央区に譲渡し、継続使用できるようにするという。湾岸域の開発や再生事業などで、汽水域の水辺の景観向上や生物多様性の保全に向けて提案していく。

 

 今後は、汽水域の水辺の景観の向上や生物多様性の保全の有効な手段の一つとして、各地の湾岸域などの開発や再生事業へ提案・展開していく方針だ。

 

http://www.shimz.co.jp/news_release/2016/2015050.html