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東京湾のイワシの8割の内臓から微細プラスチック 世界の事例よりも多め。環境中の有害物質を吸着する性質も(東京新聞) 江戸前のサカナは食べられない・・・

2016-04-09 21:20:23

iwashi2キャプチャ

 

 ごみとして海に浮遊する五ミリ以下の大きさの微細なプラスチックを、東京湾で捕れたカタクチイワシの八割近くの内臓から検出したとの調査結果を東京農工大の高田秀重教授らのチームがまとめた。

 

 魚の体内から見つかったのは、国内で初めて。餌と間違えてのみ込んだ可能性があるという。人が食べても排出されるため直接的な影響はないが、量が増えると海の生態系などに悪影響を及ぼす懸念があり、高田教授は「海への流出を防ぐ対策が必要だ」と訴えている。

 

 大きさが五ミリ以下の微細プラスチックは「マイクロプラスチック」と呼ばれる。レジ袋などのプラスチックごみが紫外線や波で砕かれてできたと考えられ、東京湾をはじめ日本周辺の多くの海域で浮遊していることが確認されている。

 

 チームは昨年八月、東京湾で捕ったカタクチイワシ六十四匹の消化管の中を調べた。この結果、四十九匹から計百五十個のマイクロプラスチックを検出し、〇・一~一ミリの大きさのものが約八割を占めた。

 

 また約一割は、古い皮膚や汚れをこすり落とすため洗顔料などに入れられている「マイクロビーズ」と呼ばれる微粒子だった。通常は下水処理場で取り除かれるが、大雨で下水管があふれた際に東京湾に流れ込んだと考えられるという。

 

 高田教授は「予想より多く、東京湾の魚は日常的にプラスチックを食べていると考えられる。世界の報告例と比べても多い方だ」としている。

 

 高田教授によると、微細プラスチックは、環境中の有害な化学物質を吸着しやすい性質がある。プラスチックを通じ、海鳥が体内に化学物質を取り込んでいることも分かっており、チームは生物への影響をさらに調べる方針。

◆世界で5兆個 マイクロプラスチック 国際的課題に

 

 世界の海には5兆個のマイクロプラスチックが漂っていると推定され、プランクトンの数より多い海域もあるとされる。食べた生き物の体内に、プラスチックに付着した有害化学物質が蓄積する恐れも指摘されており、昨年の主要国首脳会議(サミット)で対応策が議論されるなど国際的課題になっている。

 

 海外では、米国や英国、インドネシアでの調査で魚からプラスチックが検出されているほか、ウミガメやクジラ、二枚貝からも見つかっている。また海鳥全体では、90%の胃腸にプラスチックが取り込まれているとの推計もある。

 

 高田教授によると、プラスチックは海に溶けたポリ塩化ビフェニール(PCB)などの有害化学物質を吸着して濃縮する性質があり、これを摂取した生物の脂肪に蓄積される可能性がある。

 

 こうした懸念から、昨年ドイツで開かれたサミットでは、プラスチックを含む海洋ごみの対策強化が首脳宣言に盛り込まれ、国連主導の実態調査も始まった。

 

 高田教授は「海へ流入するプラスチックは、分解が極めて遅くどんどんたまる。手を打たなければ今後20年で10倍になるという推定もある」と警鐘を鳴らす。

 

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 <マイクロプラスチック>

 大きさが5ミリ以下の微細なプラスチック。ごみとして海に流れ込んだ包装容器などのプラスチック製品が紫外線や波により、破片になったものが大半を占める。

他に、洗顔料などに使われるマイクロビーズや、化学繊維から出る糸くずなどがある。環境省の調査では、日本周辺海域の1平方キロ当たりの量は、世界の海の平均に比べ27倍に上った。

環境中の有害化学物質を吸着する性質があり、誤飲した鳥や魚などへの影響が懸念されている。世界の海に漂うプラスチックごみは今後も増え続け、2050年までに重量換算で魚の量を超すとの予測もある。

https://web.tuat.ac.jp/~enrs/Takada_Example.html