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熱源に「貼るだけ」で発電するシート開発、積水化学工業が2018年度に製品化へ。センサーなどへの活用可能に(RIEF)

2016-04-20 13:25:25

CNTキャプチャ

 

 積水化学工業は、「カーボンナノチューブ(CNT)温度差発電シート」を開発した。同シートは、熱を排出している機器類に貼り付けるだけで、発電が可能という優れもの。工場や輸送機器などで常時監視が必要な設備のセンサー用電源などに応用できるという。2018年度中に実用化する。

 

 同社は社内カンパニーの高機能プラスチックスカンパニーが、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)の光情報分子科学研究室の研究チームと共同で、CNTをベースとする熱源材料化の開発を進めている。これまでの開発で、熱電変換性能と耐久性に優れたn型半導体性CNTの開発に成功した。

 

 積水化学は開発したCNT発電材料に、同社のナノ材料分散技術や化学修飾技術、成膜技術などを活用して、発電シートとして実証実験が可能なサイズのCNT不繊布の作製に成功した。

 

 このシートは、薄型で軽量、柔軟性に富むため曲面にも貼り付けることができる。また、低温度領域で発電でき、毒性物質を使っていない、などの環境面へのメリットもある。重さは5g以下で、寸法も123mm×68mm×2mmtのミニサイズなので機器類に貼り付けても目立たない。両面の温度差が50度の場合、475μW(マイクロワット)の電力を発電できる。

 

 CNT温度差発電シートは、異なる2つの半導体や金属に温度差を与えると電力が発生する「ゼーベック効果」を利用して発電する。

 

 sekisui1キャプチャ

 

 積水化学では当面、CNT温度差発電シートを、ワイヤレスセンサー向けのエネルギーハーベスティング(環境発電)への活用を想定している。乾電池や太陽光発電などでは対応が難しい高温多湿な現場や、定期的な交換・診断が難しく、昼夜問わず常時監視の必要な設備のセンサー用電源などに向いているという。

 

 ビルや大型商業施設の地下施設、空調配管、エレベーターシャフト、工場や大型倉庫、コンテナや船舶などの輸送機器での利用に適していると考えている。今後は2018年度の製品化に向けて実証実験を続けるとともに、デバイス開発、生産プロセスなどサプライチェーンの各段階におけるパートナー先企業との提携も目指すとしている。

 

http://www.sekisui.co.jp/news/2016/1282221_26476.html