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熊本地震で損壊した九州電力の黒川第一発電所。稼働期間は100年を超え、法定耐用年数はほぼ倍の超過。コンクリート劣化の可能性も(各紙)

2016-05-09 01:19:48

kumamoto3キャプチャ

 

 各紙の報道によると、熊本地震で、熊本県南阿蘇村にある九州電力の老朽水力発電所「黒川第一発電所」の施設が損壊し、大量の水が流出していたことが分かった。麓の集落では土砂崩れで住民2人が死亡していた。同発電所は設立後100年以上を経過していた。

 

  同発電所は法定耐用年数を大きく超過、コンクリートの物理的寿命も限界に近かったとみられている。

 

 だが九電は、施設の損壊と土砂崩れ発生の因果関係は不明としている。二次災害防止策を含む必要な対策を立案するため、外部の有識者を含むチームを組織して、今月中旬くらいから調査する方針という。

 

 九電によると、4月16日未明の本震後、同発電所の貯水槽の水位計が異常を感知した。このため同日午前10~11時ごろ、ヘリで上空から調査をした結果、貯水槽の集落側の外壁や、水路の一部が壊れ、貯まっていた水が約1万㎥流出した。

 

 水の流出は同9時30分頃に、ダム湖から取水を止めたことで止まったという。1万㎥の水量は、公式の競泳用50mプールを満タンにして2.5個分に相当する。これらの水は、一気に奔流となり流出したようだ。

 

 黒川第一発電所は大正年間の1914年に完成した老朽設備。すでに100年以上が経過していた。税法上のダムの法定耐用年数の57年の、ほぼ倍の稼働期間だった。貯水槽や水路の耐用年数もほぼ同様の期間。

 

 ただ、法定耐用年数は税法上の規定で、直ちに発電所の物理的寿命を意味するわけではない。しかし、ダムのコンクリート寿命も、「100年」はほぼ限界とみられる。同じ熊本県球磨川の荒瀬ダムは、1955年竣工。50年を超過した段階で老朽化を理由として2012年以来、撤去作業が続いている。

 

 黒川第一発電所の発電機や鉄管などは、100年の間に何度か新しいものに更新されているという。だが、コンクリートの躯体そのものは、大正年間に完成した時のまま。

 

 法定の耐用年数を大幅に上回り、コンクリートの物理的寿命もギリギリの状況だったとみられる黒川第一発電所について、耐震性等の管理が十分だったかが問われそうだ。

kumamoto2キャプチャ

 

 貯水槽の約200m下には、土砂崩れで被害を受けた南阿蘇村立野の新所地区がある。同地区の区長は報道に対し、「地震と決壊した水によって、私の考えだが、2人の尊い命が奪われた。九州電力としての考え方をもっと明確にしてほしい」と述べている。

 

http://www.kyuden.co.jp/notice_160508.html