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車の運動エネルギー活用する発電システム開発、米企業(AFP)

2011-11-14 21:15:50

【11月14日 AFP】より環境に優しく持続可能なエネルギーを求める動きの中で、走行する車やトラックから浪費されてしまうはずのエネルギーを集め、発電に活用する方法を米国のある企業が発表した。

 運動エネルギーを「収穫する」という考え方自体は目新しいものではないが、走行する自動車からエネルギーを生成する方法を本格的に市場に提示したのは、次世代エネルギーの研究開発を行っている米メリーランド(Maryland)州の企業、ニュー・エネルギー・テクノロジーズ(New Energy Technologies)が発表したランブル・ストリップ(スピード防止帯)、「モーション・パワー」が初めてだろう。ジョン・コンクリン(John Conklin)最高責任者は「(タイヤの回転による)転がり抵抗を捕まえ、それを電力に変える」仕組みだと説明する。

 自動車の走行中、ドライバーがスピードを落としたり、車を停止させようとする時にランブル・ストリップに似た小さなペダル帯をタイヤに踏ませ、そこで運動エネルギーを捕捉する。捕捉されたエネルギーを電力に変換し、ドライバーのための照明などの電力源として活用する。生じるエネルギー量は比較的小さいため、長距離を送電するのではなく、一定の地域内で使用するのが最適だ。

■交通量の多い場所では大きな可能性

 コンクリン氏いわく、この種のシステムは交通量の多いところで非常に大きな可能性を秘めている。例えば、スポーツ施設やショッピングモール、有料道路の料金所や国境の検問所などの照明その他の電力系の電源としてだ。「米国には1500万台の車両が登録されており、1日合わせて約100億キロを走行している。膨大な量の運動エネルギーだ」

 研究上ではこうした方法を使って運動エネルギーを捕獲する可能性が模索されて久しいが、実用は限られていた。

 米ストーニーブルック大学(Stony Brook University)機械工学科のレイ・ズオ(Lei Zuo)教授らはある論文の中で、自動車が消費する燃料のうち走行に使用されているのはわずか10~16%で、燃料の大半は浪費されていると指摘し、緩衝装置を使ってエネルギーを補足し再生する可能性に言及している。他にも、ブレーキ系からエネルギーを取り出す方法を挙げている研究もある。

 ニューヨーク市立大学シティカレッジ(City College of New York)のイアニス・アンドレオポーロス(Yiannis Andreopoulos)氏が率いるチームは、圧電システムを道路に埋め込み、車によってかかる圧力を使ってクリスタルを圧迫して発電する方法を研究している。イスラエルなどで使用されている方法だ。アンドレオポーロス氏は、こうしたシステムで生成される電力はどれも「漸増的」だが、「それをすべて集約すれば大きな結果が得られるだろう」と述べている。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2840681/8078448