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魚の稚魚、プランクトンよりも海洋に漂うプラスチックビーズを好んで「パクパク」と食べる。スウェーデンの研究論文で明らかに。食物連鎖での影響懸念高まる(RIEF)

2016-06-06 18:04:26

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 プラスチック廃棄物による海洋汚染問題が深刻になっているが、魚の稚魚は微小なマイクロビーズを、手当たり次第に食べていることが、スウェーデンの研究でわかった。マイクロビーズは自然のプランクトンなどよりも稚魚には食べやすく、「まるでティーンエージャーがファストフードを食べるようにパクつく」と表現されている。

 調査はスウェーデンのウプサラ大学のOona Lonnstedt氏らが論文をまとめ、科学雑誌の「Science」に掲載された。稚魚は化粧品などを滑らかにするために含まれてるマイクロビーズが海洋中で微小な玉状で漂い、それを稚魚がえさと間違って摂取していると指摘している。

 これらのマイクロプラスチック・ビーズに含まれるポリスチレンなどの化学物質が稚魚の体内で高度濃縮されているという。その結果、成長が阻害されて大きくならず、動きも鈍り、上位の魚に捕食されやすくなることも観察された。こうしたことから、論文を執筆した研究者らは化粧品等に含まれるマイクロビーズの使用を禁止するべきと、警告している。

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 年間、海洋に投棄されるプラスチック廃棄物は8億トンと推定されている。これらは太陽光の日照や、波による破砕、化学反応等によって、極めて小さな破片に分解していく。これらのうち5mm以下のものがマイクロプラスチックと呼ばれている。マイクロビーズはさらに小さい1mm以下のもので、主に化粧品や医療品等に含まれている。

 プラスチック廃棄物は稚魚の体内から生物連鎖の上位に位置する魚類の内臓等に蓄積するほか、有害物質をためることにつながるという。今回、公表された研究論文によると、プラスチックビーズを入れた水槽でスズキの卵を入れ、ビーズを入れない水槽とで生育を比較すると、卵の孵化率は通常の96%に対して、81%へ15ポイントも低下した。

 稚魚の動きが鈍ることは、水槽に稚魚を食べるカマスを入れた実験でも検証された。通常の生育の稚魚のいる水槽にカマスを入れると、24時間後には半分が食べられたが、半分は敏捷に逃げ延びて生存していた。ところが、プラスチックビーズを高濃度で食べている稚魚は、同じ時間内にすべて食べられてしまったという。

 プラスチックビーズを食べなれた稚魚は、食性もプラスチックビーズ好みになる。動物性プランクトンをえさとして入れても、ビーズのほうを食べる。えさを採るためのエネルギー消費の少ないほうを選んで、「パクパク」と食べる。研究者は「まるでティーンエージャーの若者がファストフードをパクつくのと似ているという。

 

 研究論文は、こうした稚魚の食性の変化から、ここ20年ほど、欧州のバルチック海等でのスズキやカマス等の漁獲高が減少していることに、プラスチックビーズによる海洋汚染が影響している可能性があると指摘している。

 米国ではコロラド州などの8つの州が化粧品等に使用されるマイクロビーズを2017年から禁止する法律を制定している。しかし、欧州や日本では規制されていない。肌の古くなった角質を除去するスクラブ洗顔剤、ボディケア製品、シェービングクリーム、日焼け止め、ヘアスプレー、マスカラ、口紅などにも含まれている。魚好きの日本人こそ、こうした規制の重要さに気付くべきだろう。

 

http://science.sciencemag.org/content/352/6290/1213