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20年前に問題化した大阪・能勢のダイオキシン汚染焼却灰、“20年間のたらい回し”の結果、神戸市の産業廃棄物最終処分場に埋め立てられ、問題化(各紙)

2016-07-08 21:14:09

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  1997年に社会問題化した大阪府能勢町のダイオキシン汚染の焼却灰と汚泥が、神戸市の産業廃棄物最終処分場に、持ち込まれていたことが発覚、神戸市と能勢町の処分機関の間で問題化している。

 

 問題になっているのは、大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」(閉鎖)から排出された約25㌧の汚染焼却灰と汚泥。1997年にダイオキシンが検出され、その処理が課題となっていた。

 

 焼却灰と汚泥のダイオキシン類濃度は最大で国の基準値の29倍もの値。2015年8月、いったん福岡県大牟田市の廃棄物処理会社での処理が決まった。しかし、豊能郡環境施設組合によると「現地で受け入れてもらえなかった」という。

 

 その後、神戸市西区神出町の産業廃棄物最終処分場に持ち込まれ、埋め立て処理されていたことがわかったという。神戸市は「違法に処分された」として、同センターを運営する豊能郡環境施設組合に撤去を求めている。

 

 神戸市によると、埋め立てられたのはドラム缶163本分。97年の問題発覚後、住民の反対などで処分できない焼却灰などが大阪府豊能町に198本(約30㌧)あったとされるため、その8割以上が神戸市に持ち込まれたことになる。

 

 能勢町のダイオキシン汚染焼却灰は、これまで19年間、各地の処分場に処理を打診してきたが、いずれも住民らの反対に遭って、行き場を失っていた。神戸市の担当者は「長年、地元で処理できなかったものを安易に神戸で処理した」と、豊能郡環境施設組合を批判。「搬入前に相談があれば、受け入れることはなかった」と、無断で持ち込まれたと主張している。

 

 神戸市の説明によると、今月6日、同組合側の事務方2人が神戸市役所を訪れ、対応した市職員に焼却灰や汚泥を埋立処理したことを初めて告げたという。

 

 驚いた市職員らが抗議するとともに、詳しい経緯を確認しようとしたが、不明な点が多く協議を中断。同日午後7時ごろ、山口禎能勢町長と田中龍一豊能町長も加わり再開した。神戸側が撤去を求めると、困惑した様子だったという。

 

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 神戸市の調べによると、ダイオキシン廃棄物は、今年2月、同組合と産業廃棄物処理の契約を結んだ同市西区岩岡町の中間処理業者がコンクリートに混ぜて固めたものを、同月中に西区神出町の最終処分場に埋め立てたという。今月6日の組合側からの神戸市への報告で搬入が発覚した。

 

 神戸市は、焼却灰が家庭ごみの焼却施設から出た灰のため「一般廃棄物」とみなし、市への事前の通知や協議など必要な手続きがないまま持ち込んだ点などが、廃棄物処理法違反に当たると指摘している。

 

 中間処理業者によると、汚染物約25㌧は細かく砕かれ、産業廃棄物として処理すべきものかどうか外見ではほとんど判別できなかったという。同組合は「ごみ焼却施設を解体した後の廃材も含まれるため、産業廃棄物として処理できると判断した」と説明している。

 

 環境省によると、ごみ処理施設から出た焼却灰は、処理した廃棄物の種類によって一般廃棄物か産業廃棄物かに分類する。同省廃棄物対策課は「一般廃棄物を焼いてできた焼却灰は、一般廃棄物として扱うのが原則」と指摘する。

 

 大阪府能勢町のダイオキシン汚染 1997年、大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」(閉鎖)から超高濃度のダイオキシンが検出され、施設内外で当時、国内最悪とされるダイオキシン汚染が確認された。焼却施設は解体され、周辺の汚染土壌も除去された。2000年に公害調停が成立したが、ドラム缶入りの汚染物が大量に残されたほか、解体作業員の高濃度暴露やデータ隠ぺいなどの問題も引き起こした。