HOME12.その他 |今年の「地球資源超過日(オーバーシュートデー)」。今月8日に早まる。CO2削減などを進めないと、2030年代には人類は地球を「食べ尽くす」。生態系の限界を政治・経済判断の軸に。環境NGOのGFNが提唱(RIEF) |

今年の「地球資源超過日(オーバーシュートデー)」。今月8日に早まる。CO2削減などを進めないと、2030年代には人類は地球を「食べ尽くす」。生態系の限界を政治・経済判断の軸に。環境NGOのGFNが提唱(RIEF)

2016-08-06 13:18:17

GFNキャプチャ

 

 国際環境NPO(非営利団体)のグローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)は、地球が1年間で再生できる自然資源を使用し切った「地球資源超過日(Earth Overshoot Day)」が、今年は今月8日になると発表した。過去、最も早い「資源使い切り」となる。

 

 「地球資源超過日(Earth Overshoot Day)」は、人類の自然への年間の需要が、その年に地球が再生産できる自然資源の量を上回る日をいう。海や森が吸収できる以上の二酸化炭素(CO2)を大気中に排出し、廃棄物は土中の分解力を超え、魚や森林をモーレツに消費していることを意味する。

 

 GFNによると、昨年の「超過日」は8月13日だった。したがって今年は5日早い。年間では12カ月365日分の資源を、7か月超の221日で使い尽くすことになる。逆に言うと、人類は地球1.6個分の資源消費を続けていることになる。

 

 これまでを振り返ると、1961年には、人類は自然資源の年間割り当て分の約4分の3しか使用しなかった。それが1970年代になると、経済成長と人口増加により超過日を迎え始めた。超過日は年々早まり、1993年に10月21日に、2003年は9月22日、そして今年は8月8日となる。

 

 earthfootprint2キャプチャ

 

 人類の生態系に対する需要をエコロジカル・フットプリントと呼ぶ。その要素の中で、CO2の吸収に必要な土地(カーボン・フットプリント)が全体の60%以上を占め、オーバーシュート(生物学的赤字)への寄与率を急速に高めている。

 

 GFNは声明で「このようなことがあり得るのは、われわれ人間が大気中に排出する二酸化炭素が海洋と森林が吸収できる量よりも多く、われわれが海洋の恵みを枯渇させ森林を伐採するペースが、その再生産と再成長よりも速いからだ」と述べている。

 

 国連の中間予測シナリオによると、現在の人口増加と消費傾向がこのまま持続すると、2030年代には「超過日」は1月初めになるという。つまり、地球1個分を使い尽くし、もう一個の地球を必要とする。しかし、地球は一個しかない。

 

 また資源の過剰使用は、地域紛争や大量移民、飢饉、病気、その他の人類の悲劇等の増加を引き起こす。貧困層は新たな資源へのアクセスがますますできなくなる。社会・経済的軋轢が増大し、政治・軍事的対立を深めるなど、負の連鎖を高めるリスクが大きい。

 

 このためGFNは、地球上の一人ひとりの個人も、企業も、生態系の限界を十分に理解する必要があると指摘している。生態系の限界をわれわれの決断の軸に据え、地球の生態系循環の枠組みの中で、新たな生き方を見出すために人類の創意を活用しなければならない、と警告している。

 

  「地球資源超過日(Earth Overshoot Day)」は、漁業、林業、運輸、エネルギー生産など数多くの経済部門の国連データを分析して算出している。

 

http://www.footprintnetwork.org/en/index.php/GFN/