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エクアドル、アマゾン自然保護区内で採油開始。財政難で保護計画挫折。保護団体や先住民から非難(AFP)

2016-09-08 12:08:04

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  【9月8日 AFP】南米エクアドルは7日、アマゾン熱帯雨林の自然保護区に部分的に位置する広大な石油埋蔵地帯からの原油のくみ上げ作業を開始した。これに対し、環境保全や先住民の権利保護を訴える各団体からは非難の声が上がっている。

 

 ヤスニ国立公園(Yssuni National Park)内での石油掘削をめぐっては、数年にわたる困難な議論が行われ、その末にエクアドル国営石油会社のペトロアマソナス(Petoroamazonas)が、いわゆるITT地区からの原油くみ上げを開始している。ITT地区には、同国内で確認されている石油埋蔵量の40%以上が存在しているという。

 

 ラファエル・コレア(Rafael Correa)エクアドル大統領は当初、ITT地区の油田開発を中止するため、国際社会から36億ドル(約3500億円)の基金を募る計画を発表。だが、アマゾンの自然を守り、気候変動の抑制を助けることを目的としたこの計画は、最終的に不成功に終わった。

 

 だが、世界の原油価格が急落の中、自身の急進左派政権が財政難に陥ったコレア大統領はついに、石油掘削を承認するよう議会に要請、3月にはITTの一部ティプティニ(Tiputini)地区で探査作業を開始させた。

 

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  ティプティニの次は、2016年最終四半期に、南のタンボコチャ(Tambococha)地区での作業が開始される予定だ。

 

 環境活動家らは、決定をめぐって国民投票を要求したが、政府はこれを拒否した。

 

 総面積100万ヘクタールのヤスニ国立公園は、地球上で生物多様性が最も豊かな地域の一つである上、現代文明といまだに接触していない世界最後の未接触先住民族の一部が暮らす場所でもある。

 

 エクアドルの環境保護団体「エコロジカル・アクション(Ecological Action)」のエスペランサ・マルティネス(Esperanza Martinez)代表は「損害は非常に大きい」と話す。そして、ITT地区での石油事業によって、生態系が傷ついたり、先住民の権利が脅かされたり、同地域に「油田飛び地」が設置されたりする危険性があると指摘した。

 

 同地区の事業はまだフル稼働には至っていない。だが、「酒場や売春宿が増え、社会問題が増加している状況がすでに見受けられる」と、マルティネス代表はAFPの取材に語った。

 

 エクアドルは2022年までに、ITT地区の原油産出量を日産30万バレルに増やす計画を立てている。

 

http://www.afpbb.com/articles/-/3100156