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東京都・豊洲市場問題 「盛り土は有害物質対策に必要」「コンクリートは隙間やひびも」 専門家会議元座長が指摘(東京新聞)

2016-09-14 11:19:32

toyosuキャプチャ

 

 築地市場(東京都中央区)からの移転が延期された豊洲市場(江東区)の土壌汚染対策で、二〇〇八年に盛り土を提言した「専門家会議」の座長だった平田健正(たてまさ)・放送大学和歌山学習センター所長(環境水理学)が十三日、本紙(東京新聞)の取材に応じた。「盛り土は有害物質の拡散を抑えるために必要な措置だった」とした上で「対策の前提条件が変わってしまった。改めて精査する必要がある」と安全性に危惧を示した。

 

 専門家会議は提言で、敷地全体に四・五メートルの盛り土をするよう求めていた。平田氏は「一番の問題は、ベンゼンなどの揮発性の有害物質への対応」と指摘。対策立案の際も、気化したベンゼンを人が吸ったり、食品に付着したりしないように検討したという。

 

 都側は「建物一階の床が厚いコンクリートになっているため、安全性を確保できると考えていた」と釈明しているが、平田氏は「土と違ってからっぽの空間。拡散の形が変わる。コンクリートの場合、隙間やひび割れなども考慮しないといけない」と話す。

 

 水産卸売場棟など主要三棟の地下空間の床に水たまりができている問題については、地下水の可能性もあると懸念し、都が設けた地下水管理システムによる水位の調整が重要とした。

 

 平田氏は、小池百合子知事が盛り土について記者会見した今月十日に初めて問題を知り「驚くというよりも、何が起きているのかすぐには分からなかった」という。専門家会議が再開された場合は「現場を詳しく確認しないといけない」とし、検証には時間がかかるとの見通しを示した。

 

 <ベンゼン> 炭素の多い素材の不完全燃焼で生まれる無色透明な液体で、都市ガス製造過程でも発生する。揮発性が高く、吸い込むと中枢神経や造血機能に悪影響を及ぼし、発がん性もある。プラスチックや樹脂の原料を製造する材料として利用される。かつては有機溶剤として広く使われたが、人体への強い有害性から原則禁止された。豊洲市場敷地内の土壌からは2008年当時、環境基準の最大4万3000倍のベンゼンが検出された。

 

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 築地市場(東京都中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)の建物下に土壌汚染対策の盛り土がなかった問題で、2011年6月に完成した基本設計は地下部分が空洞になっていたことが14日、都への取材で分かった。

 

 有識者らの「専門家会議」は08年7月、豊洲の敷地全体で地下2メートルまでの土壌を入れ替え、その上に2・5メートルの盛り土をするよう提言。しかし、都は提言を受けながら、独断で盛り土を実施しない工法に変更し、近く設置される「市場問題プロジェクトチーム」が詳しい経緯を調べる。

 

 都によると、基本設計は、業者から提案を受けて選定する「プロポーザル方式」で実施した。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016091490070030.html

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016091401000753.html