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東京・豊洲市場 東京都の調査でも、地下空間の溜り水から微量のヒ素、六価クロムも。地下水からの浸み出しの可能性濃厚。土壌汚染除去不十分の可能性も(各紙)

2016-09-17 17:19:02

toyosu2キャプチャ

 

 東京都・豊洲市場(江東区)の建設予定地の土壌汚染問題で、東京都は17日、建物の地下空間で採取した水から、環境基準を下回るが微量のヒ素と六価クロムを検出したと発表した。前日には共産党東京都議団も独自調査でヒ素を検出している。いずれも地下水からの影響の可能性が濃厚になった。

 

 東京都の発表によると、13日に現地の建物の地下空間で採取した水を検査した結果、ベンゼン、シアンは「不検出」だった。だが、青果棟と水産仲卸売場棟ではヒ素(環境基準1㍑当たり0.01㎎)が相当する最大0.03㎎、青果棟では六価クロム(同0.05㎎)が0.05㎎をそれぞれ検出したという。

 

 都が安全性を検証するため再設置する専門会議座長の平田健正・放送大和歌山学習センター長は記者会見で、「環境基準以下なので、問題ない。ヒ素は自然界にも存在するレベルで、(地下空間の水たまりが)地下水の影響を受けているのではないか」と説明している。

 

 六価クロムについては、セメントの成分の一つでもあり、真新しいコンクリートに接すると検出されることがある、と付け加えた。

 

 また前日16日、共産党の東京都議団は、14日に地下空間を視察した際、床にたまっていた約2㍑分の水を採取し調査した結果、1㍑当たり0.04㎎のヒ素を検出したと発表している。今回の都の調査とほぼ同水準の値で、いずれも地下水からの漏洩が疑われている。

 

 ヒ素の検出値は環境基準以下で「現状では問題なし」ではある。ただ、ヒ素は自然由来もあるが、大気中から汚染されるわけではない。自然由来か汚染かは不明だが、一定量のヒ素が地下水によって地上に漏れ出たとの見方が有力になった。

 

 豊洲市場では大量の水を使うが、地下水は使わず水道水で対応する。このため地下水の汚染があっても、直接的には同市場の安全性を損なうものではない。しかし、これまで都が実施してきた土壌汚染対策では、有害物質のベンゼンなどの有機溶剤を含む汚染土壌はすべて掘削除去しており、同地を流れる地下水に汚染物質は混ざらないはず。

 

 汚染対策では、さらにその上にコンクリートあるいは汚染のない盛り土でのカバーしているはずだった。盛り土がないという問題が出ているが、その問題だけでなく、ヒ素等を含む地下水の確認は、盛り土の代わりに敷かれたコンクリートのどこかにひび割れなどがあり、そこから有害物質を一定量含む地下水が浸みだしている疑いが濃厚になったということだ。

 

 土壌汚染対策工事が不十分だった可能性が浮上している。工事を請け負ったゼネコンの工事経過全体の再点検が必要になりそうだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016091701001232.html