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ワシントン条約会議 象牙の国内市場の閉鎖勧告を全体会合で決議、承認。日本は「例外」と取引継続の方針。「ゾウ殺しの日本」では、子供が泣くよ(各紙)

2016-10-05 12:37:15

zouキャプチャ

 

 各紙の報道によると、南アフリカのヨハネスブルクで開催中のワシントン条約締約国会議は4日、象牙の国内市場閉鎖を各国に求める決議案と、ウナギの取引実態調査と保護を巡る決議案をいずれも承認した。

 

 象牙の国内市場閉鎖を求める決議案は、深刻化するアフリカゾウの密猟を防ぐためのもの。米国や、東部、中部のアフリカ諸国が強く要請した。これに対して、日本や南部アフリカ諸国などが一律禁止に反発したことから、「密猟または違法取引の原因となる市場」を閉鎖するよう対象を限定する表現が加わった。

 

日本は象牙管理制度があることなどから、この市場管理ができているとして、閉鎖対象外になるとの認識だ。日本政府代表は決議承認後、「日本の国内市場は影響を受けないと考えている。国内取引の管理徹底を図りたい」と話した。

 

 日本は中国に次ぐ、世界第2位の象牙の国内市場を抱えている。しかし中国は、すでに国内市場の閉鎖の意向を示している。逆に日本では毎年、取引のための象牙の登録が増えており、供給増の状況になっている。日本が国内市場を死守することで、日本を経由して中国への輸出が増加する可能性もある。

 

 国際取引を規制する同条約が、各国内の市場にも措置を求めるのは異例。決議が採択されたのは、現状のままではゾウの密猟を取り締まり、国内市場を管理しても、象牙を利用しながら、ゾウを持続可能な形で守ることが極めて難しい状況に陥っていることがある。

 

 英国の研究チームが発表した論文では、持続可能な象牙の収穫量を算出。アフリカ全体のゾウの個体から採取される量では、世界の象牙需要の6分の1から3分の1しか満たせず、「象牙を持続可能に利用する方法を見つけることはできない」と結論付けている。

 

 また、ゾウの密漁グループによって、命を落とすレンジャーの犠牲も少なくないという。こうした犯罪行為を締め出すために、象牙需要国の国内市場を規制することで、象と人間の被害を最小化しようという決議になった。

 

 今回の決議に強制力はないが、各国は実施状況の報告が求められる。日本政府は国内市場の管理はしっかりしていると強調しているが、環境保護団体は「日本の制度には不備が多い」と批判している。

 

  決議によると、除外対象となるのは限られたケース。取引を続ける場合でも、国内の象牙の需要や供給を削減するような啓発や、全ての業者を許可や登録の上で取引させることなどを勧告している。

 

 ウナギの決議案では、世界中のさまざまな種の取引実態などを調査。三年後に予定される次回締約国会議では、調査結果を踏まえ、条約の動物委員会が持続可能な取引に向けた勧告をする。