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東京都内 オリンピック開発の名目で、豊かな緑の街路樹を一気に伐採へ。都と千代田区の道路行政に住民が「待った」(RIEF)

2016-10-06 15:07:42

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  東京オリンピックを大義名分にした、豊洲卸売市場問題をはじめ、東京都の強引な「首都改造」路線が露呈しているが、千代田区内でも「エコな五輪」を真っ向から否定する都の計画が進められ、住民や通勤通学者の反発を買っている。

 

 問題となっているのは、東京神田、警察通り、学士会館の向かい、共立講堂と学術情報センターの一帯。樹齢50~60歳から80歳以上とされる大木の並木で知られている。合計32本のイチョウと5本のプラタナスが並ぶ。今年7月には、イチョウの大木に、突然「樹木撤去のお知らせ」が貼られた。

 

 都と千代田区はオリンピックに向けて同地を含む一帯で、大規模な道路工事を計画している。工事では合計300本もの街路樹を伐採し、幅220mの自転車道に切り替える方針という。自転車道は必要だが、220mだけ作っても、ほとんど意味をなさない。都全体で、自動車道の見直しと、歩道の確保とバランスした自転車道計画が必要だ。

 

 ところが、千代田区は伐採について、区議会にも住民にも知らせずに7月に、「樹木撤去のお知らせ」を貼り付けたというわけだ。いざ伐採という夜に、木を愛する人に発見され工事は一時停止となった。伐採に怒った人々はこれまでに、区に対して、複数の陳情と2500筆以上の署名が出されているという。

 

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  しかし千代田区はそれでも工事を続行しようと、陳情者に圧力的な行動をしたり、陳情を扱う委員会日程を早めたりしているという。近くの都道でもオリンピックのマラソン道整備のために、中には100歳の樹齢を持つイチョウもあるが、都によって強引に切り倒されている。

 

 「オリンピック」を理由に、都と区の役人が、住民に定着した街並みを無視し、机上で設計した人工的な都市づくりを進めていることになる。豊洲問題と同じく、ここでも「都民」「区民」不在の、役人(と業者)のための工事が優先されているわけだ。

 

 住民らは、「愚者は木を伐る、賢者は木を残す」と指摘。「私たちが未来に残したいのは、開発道路ではなく、樹木であり環境であり伝統である」として、街並破壊の伐採阻止のための署名活動を展開している。木を保存すると同時に、木を整備する際のルールの明確化も求めている。

 

 日本の行政の感覚では、街路樹は法的に「道路の付属物」としての扱いしか受けていない。しかし、街の緑は、「付属物」ではなく、街を彩り、木陰を提供し、行き交う人々の心を和ませる役割も持つ。今回の問題は、言ってみれば、パリのジェンザリゼ通りのマロニエの木を、「道路の付属物」だからとして、ある日、パリ市が一気に刈り取るようなものである。

 

 都と千代田区は、戦後復興の過程で整備・成長した並木が、東京の豊かさの象徴となる歴史的景観を構成していることに気付いていないようだ。千代田区内では、これ以外にも御茶ノ水駅から駿河台下までの区道「明大通り」の歩道空間を整備する目的で、プラタナスなど34本が伐採される予定(第1期分だけで)のほか、水道橋駅から神保町交差点までの区間が都の「無電柱化電線共同溝工事」で街路樹全体の約4割に当たる50本のイチョウが伐採される計画という。

 

 道路優先の都市づくりを、住民優先の街づくりに切り替える視点が問われている。元環境大臣の小池知事への期待はここでも大きい。

 

http://chiyodatrees.wixsite.com/trees

https://www.change.org/p/100%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%A1%97%E8%B7%AF%E6%A8%B9%E3%82%92%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF%E9%96%8B%E7%99%BA%E3%81%8B%E3%82%89%E5%AE%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%B8%8B%E3%81%95%E3%81%84?utm_source=action_alert&utm_medium=email&utm_campaign=659621&alert_id=hILUudwtGo_vPk5Cgrv1OO1%2FuM%2FvBegHC4zwN6M9xdIQj0zjmixSmEaP1QfvW7Dp1lPjoHAp1gq