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水俣病 患者らの7割が「期限なし救済」を求める。環境行政への不満強く。アンケートで判明(各紙)

2016-10-30 01:07:24

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 水俣病患者や補償を求め訴訟を起こしている原告ら74人に、共同通信がアンケートした結果、問題解決に向けて望むこととして、複数回答で72%に当たる53人が期限を区切らない救済、58%の43人が患者認定基準の緩和を挙げた。

 水俣病は公式確認から60年たったが、なお救済を求める人たちが多い現状が浮かんだ。水俣病の原因は加害企業のチッソだが、患者救済の遅れや認定の不十分さは、環境省による「行政の失敗」とされる。29日午後1時半から、熊本地震で延期されていた犠牲者慰霊式が熊本県水俣市で開かれた。

 共同通信のアンケート調査は、患者団体、訴訟を支援する団体を通じて4月から郵送で実施した。認定患者や1995年以降の救済策の対象になった人、訴訟の原告ら熊本、鹿児島両県に住む40~90代の男女が回答した。

 水俣病は法律に基づき患者認定されるが、基準を満たさないと判定される人もいる。このため政府は95年、一定の症状がある未認定患者への一時金支給を決定。2009年にも特別措置法を施行して解決を目指した。だが、特措法では対象の地域と年齢が設定され、救済漏れとなった人が少なからずいる。

 こうした環境行政の不十分な対応に、今回の調査では49人が「患者認定要件が不当に厳しく、2度の救済策も不十分」と回答した。「認定要件は厳しいが、2度の救済策である程度救済できた」と答えたのは15人で、「認定要件は妥当」としたのは1人だけ。他は無回答などだった。

 問題解決へ望むことは複数回答で、12年に申請を締め切った特措法による「期限を区切らない救済」が53人で最多。43人は「患者認定基準の緩和」、41人は「治療法の確立」を挙げた。

 自由記述では、八代海沿岸の全住民を対象とする健康調査を求める声もあった。95年の救済対象となった80代男性は「いつになったら解決するのか」、訴訟中の70代男性は「皆老いている。一日も早い救済を」と訴えた。水俣病の患者は、チッソによる直接の被害に加えて、環境行政の対応不足によって、二重の被害を受けてきたといえる。

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水俣病の犠牲者慰霊式が29日、熊本県水俣市で営まれ、患者や遺族ら約750人が黙とうをささげて追悼した。水俣病は公式確認から60年たつが、患者認定の審査を待つ人は2千人超に上っており、解決の糸口はなお見えない。式典後、患者・被害者団体は山本公一環境相らと懇談し、被害の全容解明に向けた健康調査を求める意見書を提出した。

 慰霊式で、蒲島郁夫知事は患者認定審査について、任期を念頭に「この4年で完了できるよう業務を加速化したい」と強調した。原因企業チッソの森田美智男社長も参列。式典後の取材に「責任の重さを痛感している。当社が水俣から逃げ出すことはない」と述べた。

 

 http://this.kiji.is/164650933089814007?c=39546741839462401

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