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JR東日本と鉄道・運輸機構 北陸新幹線のアスベスト含有の防音壁を破砕処分 約100トン分が大気中に飛散した可能性。長野県の処分場で。廃棄物処理法違反の疑い(各紙)

2016-11-04 13:10:34

asbestos2キャプチャ

 

  JR東日本と独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構は2日、北陸新幹線で使用したアスベスト(石綿)含有の廃棄防音壁1800トン分を、廃棄物処理法の規程を無視し、破砕処分していたと発表した。破砕処分は2005年以降、長野県内3ヶ所の山林中の処分場で行なったという。

 

 JR東日本等は1997年10月に開業した北陸新幹線の軽井沢-長野駅間(長野県軽井沢町~長野市)のうち高架部分などに設置された坊音壁を2005年以降、破砕処分していたという。防音壁にはアスベストの一種のクリソタイルが含まれ、最大約6%の含有率と推計されている。廃棄された防音壁全体が1800トンだから、解体作業で大気中に飛散したアスベストはほぼ100トンと推定される。

 

 アスベストを含む構造物は解体の際に、破砕処理などをすると大気中に飛散し、それを人が呼吸等で吸収すると肺などに突き刺さり、中皮腫(ガンの一種)を引き起こすリスクが指摘されている。このため廃棄物処理法で「重量で0.1%を超える石綿を含有するもの」は石綿含有廃棄物として無害化処理しなければならないと規程されている。

 

 asbestosキャプチャ

 

 JR東日本らは、建設当時に機構が作成した設計図では「環境上問題となるアスベストなどの有害物質を含まない」と記されていたため、通常の産業廃棄物と同じ方法で約2万枚の防音壁の交換工事をし、古い防音壁を上田市、立科町、小布施町の長野県内3カ所の山林内の産廃処理場で処理したという。しかし今年4~10月に廃棄物の成分検査を行った結果、アスベストが検出された。

 

 JR東日本は「処分場は山林にあり、周辺住民に直ちに健康上の影響はない」と説明しているが、破砕によって大気中に飛散したアスベストを、廃棄物処分場の作業員等が吸引した可能性があるほか、飛散した後、河川等を経由して市街地に流れ込んだリスクもある。

 

 アスベストは吸引後、直ちに健康以外を引きこすのではなく、20年~30年を経て、中皮腫などを突然、発症する。したがって、廃棄後に周辺地域に何らかの健康影響を及ぼしていないかを、住民等への情報提供をしっかり行なって確認するとともに、長期的な環境管理をどうするかという対策が必要になる。

 


  今回のアスベスト不適切処理は、当初の設計通りにアスベストを含有しない素材を使っていれば、問題は発生しなかったのに、なぜ、設計の仕様書以外の素材を活用したのかという問題も明らかにする必要がある。