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女性科学者だけの南極探検隊編成。世界から76人が参加。気候変動の研究の挑戦と、男性優位の研究者社会への挑戦を目指す(RIEF)

2016-11-30 22:12:35

mather2キャプチャ

 

 過去最大の女性の科学者だけで編成する南極探検隊が、今週末、アルゼンチンから出発する。気候変動の研究をアピールするとともに、男性優位の科学者社会へのアピールも目指すという。

 

 探検隊プロジェクトを主催するのは、NGOのHomeward Bound。参加するのは、呼びかけた1000人の候補者の中から、76人の女性科学者たち。各国から集まったが、残念ながら、日本からの参加者はいないようだ。

 

 76人は、20日間にわたって氷点下の環境下で研究活動をすると同時に、リーダーシップ活動を学ぶ。特に、主な目的は、リーダーシップを磨き、男性優位の科学者社会に挑戦することにあるという。「氷点下のブーツキャンプ」のようだ。

 

 UNESCO(国連教育科学文化機関)によると、世界の研究者の28%でしかなく、特にシニアレベルでは限定されている。

 

motherキャプチャ

 

 今回のHomeward Boundの活動の共同創設者であるFabian Dattnerさんによると、「気候変動と闘うには、特に不平等の影響を受けている女性のリーダーシップが重要」という。

 

 Dattnerさんはオーストラリアの企業家で、今回の探検隊のリーダーを務める。「母なる自然は、彼女の娘たちを必要としている(Mother Nature needs her daughters)」と強調する。

 

 実際、気候変動の激化は、男性より女性たちに影響を与えている。たとえば、サブサハラ地域での干ばつの進展は、小農地での女性たちの水汲み作業の頻度を増やし、労苦を高める。またLondon School of Economics(LSE)の調査では、気候変動による自然災害の増加は、男性よりも女性や少女の犠牲者を増やすとの結果が出ている。

 

 Dattnerさんが今回の探検隊の編成を思いついたのは、極地科学者たちのジョークを聞いた経験だった。彼らはこう言った。「南極で科学研究をするリーダーは、ヒゲが不可欠なのだよ」。

 

 Dattnerさんは付け加える。「Homeward Bound の目的は、研究能力や知性は十分あるのに、その研究の主流ではなく、わき役にとどめられている女性科学者たちを団結させることにある」

 

 これまでも長期の極地等の研究活動に参加した女性研究者の中には、ある種のセクシャルハラスメントや、差別、女性嫌い等を受けた経験があるとの声も多いという。

 

 Dattnerさんは、今回の76人に続けて、今後10年間に、1000人以上の女性科学者がこのイニシアティブに参加し、リーダーシップを高めることを目指すとしている。女性の団結と、その知力の活用が、長年の「男性優位社会」の結果でもある気候変動を克服する力になるとの期待が広がっている。

 

 でも南極は寒いでしょうね。

https://homewardboundprojects.com.au/about/