HOME |芝浦工業大学 スターリングエンジンと太陽光パネル・蓄電池搭載の「災害緊急車」開発。電気とお湯を非常時に供給(RIEF) |

芝浦工業大学 スターリングエンジンと太陽光パネル・蓄電池搭載の「災害緊急車」開発。電気とお湯を非常時に供給(RIEF)

2016-12-01 14:47:21

shibaura1キャプチャ

 

 芝浦工業大学は同大学の電気工学科の高見弘教授が、既存のエンジンより高効率で廃材なども利用できるスターリングエンジンと太陽光パネルを組み合わせ、災害時などに電気とお湯を供給できるハイブリッド電源車を開発したと発表した。

 

 地震や台風などの災害で被災した場合、「電気とお湯があれば、必要最低限の生活は出来る」とのコンセプトに基づいて、軽自動車にスターリングエンジンと太陽光パネル、蓄電池を組み込めるシステムを開発した。

 

 スターリングエンジンでは、3kgの木質バイオマスペレットをi時間燃焼して1kwの電力を供給するほか、45度のお湯200㍑を供給できる。また自動車の屋根には100Wの太陽光パネルを6枚設置し、日中は1時間で最大600kWの発電が可能になる。両方で発電した電力は48V、110Ahの蓄電池で充電する。

 

 バイオマスチップ3kgは120円程度の費用で、1kWの電力はスマートフォンなら70台分の充電に使える。また45度のお湯200㍑はバスタブ1杯分となり、ゆったりとお風呂に入れる。電源は、災害時のガレキ撤去のための電動ノコギリや、救命機器などの非常用電源としても使用できる。

 

shibaura2キャプチャ

 大きな特徴がスターリングエンジンである。同エンジンはシリンダー内のガスまたは空気を外部から加熱・冷却し、その体積変化でピストンを動かすことで熱エネルギーを運動エネルギーに変換する外熱機関。2014年の規制緩和で、出力10kW未満の同エンジンが一般用電気工作物として区分され、実用化に道が開かれた。

 

 ただ、フリーピストンスターリングエンジンに、一般的な発電制御用コンバーターシステムを接続して発電しようとすると、コンバーターが出す高調波によってエンジンが不安定になるという課題があった。そこで、今回の車両では、新たなコンバータを開発、ピストン駆動機構を持たず、パワーピストンを振動させて動力を取り出すフリーピストンタイプのものを採用した。現在、特許申請中だ。

 

 エンジンの熱源には専用木質ペレットを燃焼させるシステムとなっているが、将来は災害現場でのガレキなどのように、その場で調達できる廃材を燃料として利用できるように改良する。

 

http://www.shibaura-it.ac.jp/news/2016/40160219.html